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2014年11月 9日 (日)

スコセッシが両親にインタビューする映画

前から行こうと思っていたフィルムセンターの「ニューヨーク近代美術館映画コレクション」に、ようやく行くことができた。東京国際映画祭の関連企画として同じ時期だったので、全く行けなかった。何でもジョン・フォードの『香も高きケンタッキー』は2度とも満員だったという。

見たのはマーチン・スコセッシの『イタリアン・アメリカン』(1974)とグリフィスの短編2本だが、混むと思って45分ほど前に行くとまだ大きな列はできていなかった。

『イタリアン・アメリカン』は、デビューしたての若きスコセッシが自分の両親に自宅でインタビューしただけの映画だ。いわばホームムービーだけれど、見ていて飽きない。1つには両親が底抜けに明るくて何とも楽しい人々だから。もう1つ、こちらが重要だが、2人がイタリアからの移民で、その歴史を語ることだ。

最初はソファで両親が話し始める。母は父に「もっとこちらに寄りなさい」と言いながら。その途中で母トマトソースを作りだし、それをおそらく息子や撮影スタッフと食べた後に、ダイニングテーブルで再開する。

両親の親たちはイタリアのシチリア出身。20世紀初頭、若い頃にアメリカにやってきて、いろんな仕事をするうちに結婚し、アイルランド人が多かったこのリトル・イタリーにやってきた。彼らが自分たちでワインを密造していた頃の話がおかしい。ちなみにこのインタビューの時にテーブルにあったのは、Bollaというごく普通のイタリアワイン。

母は2家族11人で住んでいたらしい。昔の人はとにかく話がうまかった。当時はラジオもテレビもないこともあって、何時間でも話をしていたらしい。祖父は30年アメリカに住んでも全く英語ができず、市民権を取る時も娘を連れて行って通訳させたという。

当時の祖父母や両親の写真が出てきたり、当時のリトル・イタリーの様子を見せるフッテージが挟み込まれているのがいい。本当に街全体が貧しかった様子がよくわかる。

両親は結婚時は貧しくて新婚旅行ができなかったので、30年後にイタリアに旅行したという。ミラノやローマやベネチアに行き、シチリアでは親戚たちに会った。ナポリでは、ある少年にアメリカに連れて行ってくれとせがまれたという。母は連れて来ればよかったと言うが、父は「とんでもない」。

両親は本当にあっけらかんとしていて、いわゆるインテリでは全くない。特に父親は「濃い顔」で、イタリア人そのもの。スコセッシはインタビュー役で彼らのそばにいるが、何だか落ち着かない感じで見ていて、時々サラダを食べる。映画の話は全く出てこない。

ちなみに映画の終わりにトマトソースのレシピが出てくるが、これがトマトと玉ねぎ、にんにくを炒めた後に牛肉や羊肉を入れて煮たうえに、後でミートボールを入れるもの。さぞ栄養満点だったろうと思う。

その前に見たグリフィス2本も良かったが、今日はこのへんで。

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