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2014年11月22日 (土)

ボッティチェルリの有難み

1月公開のドキュメンタリー映画『ナショナル・ギャラリー』を見ていたら、「オールドマスター」の絵が見たくなって、12月14日まで東京都美術館で開催中の「ウフィッツィ美術館展」を見に行った。「オールドマスター」とは、ルネサンスから18世紀くらいまでの絵画の巨匠たちを指す。

この時代の作品は、日本の美術館には極めて少ない。画商が活躍して美術品の国際的な売買が行われるようになったのは19世紀以降だし、そもそも明治になるまで日本に外国から来る美術品は、ほぼ中国のものだった。だから日本の美術館の西洋美術は、印象派以降の作品がほとんど。

それ以前のオールドマスターは数も少ないから高価で今からは買えないし、なかなか貸してもくれない。そんなわけで日本の美術ファンは、西洋美術と言えば印象派を思いうかべるようになった。

「ウフィッツィ美術館展」でまず驚くのは、板に描かれた「板絵」が多いことで、何点かはフレスコ画まである。これらは傷つきやすいので、昔はめったなことでは海外に貸し出さなかったが、最近はそんな板絵まで日本に来るようになった。

ウフィッツィ美術館はフィレンツェにあるルネサンス美術の美術館で、目玉はボッティチェルリの《プレマヴェーラ(春)》や《ヴィーナスの誕生》だが、今回の展覧会はその2点にかなり近い《パラスとケンタウルス》が出ている。これは裸のヴィーナスにまとわりつく草木が何ともなまめかしいし、肩からかけた布の濃い緑とあいまって、どことなく東洋的だ。

ボッティチェルリは工房作品も入れると全部で9点も出ていて、聖母子と天使の構成の妙や赤と青、緑の色彩を見ていると、えも言われぬ有難みが漂ってくる。そのほかにも(私が)聞いたことのある名前としては、リッピ、ペルジーノ、バルトロメオ、ブロンヅィーノなどの作品があって、15世紀から16世紀の作品が、計75点。見ていると、日本とは全く異なる世界観に陶然となる。

海外の美術館から丸ごと借りてくる「〇〇美術館展」は基本的には嫌いだが、ルネサンス期の作品をこれだけまとめて見ると、ずいぶん得した気分になった。実はその後に国立西洋美術館で「ホドラー展」を見たが、ボッティチェルリの後ではこちらの印象は薄かった。これについては後日。

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