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2014年12月 3日 (水)

ザハ・ハディドと大友良英と

今年はたぶんここ数年で一番映画や美術展を見ている。理由は簡単で、授業の組み方を変えて一日3コマの日を2日作り、残り2日を1コマにしたから。これで週休3日になったし、余裕がある日が増えた。時間があるけど映画を見るほどはない時には、展覧会をのぞく。

先日は初台で2つの展覧会を見た。オペラシティ・アートギャラリーで「ザハ・ハディッド展」、NTTのICCで「大友良英展」で、共に美術展ではない。

ザハ・ハディットはイラク出身の女性建築家だが、最近では2020年東京オリンピックの「新国立競技場」の建築家として名高い。お金がかかり過ぎると評判が悪かったが、果たしてどんなものか興味があった。建築の展覧会は図面と模型と写真や映像ばかりで、私にはあまりおもしろくないのはわかっていたけれど。

会場で驚くのは、文字がないことだ。あちこちに大きな模型が散らばっているが、どれがどれか説明がない。部屋ごとの解説も何もない。すべて配られた作品リストで確認しないといけない。

最初の部分は1980年代の実現しなかった建築プランが中心。日本の「麻布十番のビル」とか「富ヶ谷のビル」とかあるが、「実現せず」と記されている。確かにどれも流れるような、カッコいいが使いにくそうなオブジェが並ぶ。途中から「竣工」したものが出てくる。こちらはだいぶ建築らしい。

次の部屋は今後のプランが中心。模型が散らばり、大きな壁にそれらのイメージ映像がビデオで流れる。流線型の流麗な造形ばかりでうっとりする。

最後はいよいよ東京オリンピックの競技場。小さめの模型に多くの大きな完成予想写真が壁に張られていた。これを見た時、即座にカッコいいと思った。まわりの自然と調和していて、どこか和風の感じがある。このままだとお金がかかり過ぎるだろうが、彼女の建物が1つくらい日本にあってもいいと思う。「実現せず」になりませんように。

次に見た「大友良英展」は、「音楽と美術のあいだ」という副題がつく。主な展示は1つで、暗い部屋に入ると大きな四角の箱があり、その4面に楽器を鳴らす別々の人の影が映っている。大友良英といえば「あまちゃん」の音楽で有名だが、ここは現代音楽の世界。繊細な影の身ぶりの世界とあいまって、おもわず床に座り込んでしまうような甘美な快感が走った。

展覧会の終わりに、音楽と美術の関係についての質問に対する10名ほどの回答が貼られていた。誰かが「美術は建築や映画に比べて本当は存在していないのではないか」と書いていたのがおもしろかった。確かに美術は美術館や画廊という制度がなければ、何が何やらわからない。建築と音楽の展覧会を見た後なので、妙に納得した。

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