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2014年12月12日 (金)

人間は弱い:その(4)

人間は弱い。特におだてられると弱い。私のような普通の人間がおだてられる機会が一番多いのは、服装のような気がする。私は冬になるといつもブーツを履くが、それはかつて初めてブーツを履いた時、自分より若い女性の同僚から「男の人のブーツっていいですね」と言われたからだ。

15年ほど前のことだろう。それからだんだんとブーツを買い足していった。一度履きだすと、冬は普通の靴では足元が寒くなる。そうやって毎冬ごとに新しいブーツを買い、古くなった一つを捨てる習慣がついた。もちろんその発言をした女性は覚えてもないだろう。

ホメられてうれしいのは、男性のこともある。フランス出張から帰り、買ったばかりの個性的なスーツとシルクのシャツを着て打ち合わせに行ったら、ある広告会社の男性が「いかにもパリ帰りという感じですね」と言った。もちろん彼は私が出張していたことを知っているので単なるお世辞に違いないが、それでもずいぶん嬉しかった。それからそのスーツは、しばらくの間いざという時に着る「勝負服」となった。

大学に移って、学生からおだてられるということが加わった。今の学生は単位を取るためには先生を乗せることくらい何でもない。それがわかっていながら、「今日のシャツ、素敵ですね」と言われると3日くらいは嬉しい。後でそのシャツを見て、思い出し笑いをする。

小さい頃から可愛かったりハンサムだったりすれば、そういうオダテには免疫があるだろうが、そういうことがなくて若い頃長い間モテない日々を送った身としては、バッグ一つでもホメられると舞い上がる。何と人間は弱いのだろう。

さらに大学には助手という存在がいる。彼らは授業の補助が主な仕事だが、学生ではないのでオダテもうまい。特に女性助手はいじめられないように又は仕事が増えないように、よく教員の服や持物をホメる。

もともと日常的に「先生」と呼ばれる職業は危ない。日々おだてられているようなものだ。せめて服装をホメられたくらいでは動じないようにしないといけないと思うけれど、無理だろうか。

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コメント

古賀さん、日本で若い人を育てる立場でいらっしゃるし、女性助手が、いじめられないように又は仕事が増えないようにホメるとは? 女性助手は人のあしらいがうまい、という言い方はできないかしらね?

投稿: 生田祐子 | 2014年12月12日 (金) 14時39分

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