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2014年12月28日 (日)

満員の「ティム・バートン展」に驚く

昨日触れた、1月4日まで六本木ヒルズの森アーツセンターで開催の「ティム・バートン展」についてやはり書いておきたい。実は一番驚いたのは、展示の内容よりも、かなり人が入っていたことだった。

「映画の展覧会」と書くと楽しそうだが、これは人が来ない。そのうえにお金がかかるので、その実現がいかに難しいかは自分の経験でよく知っている。

映画好きな人は、まず展覧会は見ない。美術が好きな人も映画の展覧会は行かない。自分が係わった「映画の展覧会」で名実ともに成功したのは、2000年の「オードリー・ヘプパーン展」だけだった。これは日本橋三越を始めとして、全国12の百貨店の催事場で開催し、いまだに各店の入場者上位ランキングに入っているはず。

オードリーの場合は、女優としては日本で抜群の人気があり、ジヴァンシーを始めとした映画の衣装やフェラガモの靴、スチール写真、世界各地での公開ポスターなどがすべて残っている。あとは洒落た展示になるように、一流の展示デザイナーを雇って、お金さえかければいい。

人が入らなかった展覧会で記憶にあるのは1995年の「映画伝来」展。企画しようとして頓挫したのは、「マレーネ・ディートリッヒ展」とか「スタンリー・キューブリック展」とか。こういう展覧会は、実は美術館も百貨店もそれぞれの理由でやりたがらない。

前置きが長くなったが、「ティム・バートン展」は、まず第一にこの監督は絵描きとして抜群の才能があり、作られた映画や実現しなかったプロジェクトも含めて、膨大な絵やデッサンが残っているのが大きい。それを見るだけで楽しい。

見ながら新しいと思ったのは、『シザーハンズ』や『チャーリーとチョコレート工場』など、有名作品の映像を見せていなかったこと。それらはアメリカのメジャーの製作でみんな見ているし、DVDにもなっている。みんな見ていることを前提に、関連する無数のデッサンやフィギュアを展示できるのだ。

一方で、『ヴィンセント』とか『ステインボーイ』、あるいは1970年代から80年代にかけての自主映画など、この展覧会でしか見られない作品を映像としてきちんと見せている。

ひとえに、超メジャーな作品を作っているけれども画家としても才能があり、マニアックなファンが多いという、ティム・バートンならではだろう。ニューヨーク近代美術館で企画されたものなので、展示もよく練られているし、展示デザインもスマートでお金がかかっている。

先日、入場者が20万人を越したという報道があったが、こんな監督はほかにはいないだろうな。ベルリンで見たキューブリック展だって、こんなおもしろさはなかった。

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