庭園美術館の小人たち
白金の東京都立庭園美術館が再開したというので、見に行った。ここは旧朝香宮邸のアールデコ建築で有名だが、修復のため3年間も閉じていた。まず外観からして、クリーム色で窓がくっきりと見えて、いい感じ。
今回は本館の展示はなく、ひたすら貴族の館を楽しむ。驚いたのは庭に面した窓があちこちにあったこと。どの部屋からも広い庭が見える。これまでは展示室として使うために閉じられていたのだろう。
だからどの部屋にいても心地よい。2階のベランダなどは一日中いたくなるほど快適だ。窓やドアや壁や天井に作り込まれたアールデコのデザインが実にすっきりと見える。それから、書斎や食堂や浴室まで見ることができるので、本当に人が住んでいた感じがよくわかる。
1階から2階の部屋を見て回る。その途中で、窓の手前に人差し指ほどの小さな人形があった。確かに気づいていたが、あえて意識しなかったというべきか。
再び1階に下りて、新館へ行く。ガラスの空間を通りぬけると、気持ちのいい真っ白な空間が広がっていた。左はショップとカフェで右はギャラリー。そこでは内藤礼の展示があった。真っ白な200平米ほどの空間に白いキャンバスに白で描かれた絵が10点ほど。
つまりは真っ白に真っ白。ふざけたような展示だが、白いキャンバスが照明のせいかあちこちが黄色く見えたりする。見ていると眩暈がしてくる。奥の方に小さな人形が床に置いてあって、その近くに置いてある鏡に映る。しゃがんでそれを見ていると、白い空間が巨大に見えてくる。
ギャラリーの入口で配られた展示配置図を見ると、本館にも作品が10点ほどあるようだ。見ていない、おかしいと狐につままれたような気分。本館に戻りながら、ひょっとしたらあの小人ではと思いつく。
あちこちに立つ係の人に聞きながらその場所を探すと、何人もの小人がいた。窓の側や鏡の前に男とも女ともいえない小指ほどの木の人形がぽつんと立っている。それを見つめながら部屋を見渡すと、全く別世界が広がる。これはすごい。
この展示は12月25日までなので、早く行かないと内藤礼の小人たちはいなくなってしまう。リニューアルされた貴族の館は、10人ほどの小人たちの存在によって夢の域に達している。土日は混むと思うので、平日昼間がオススメ。
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