「また映画祭をやっているのですか」と言われて
大学に移ってからもう6年近くなる。3年目から、学生が企画する映画祭を始めた。かつて私がジャン・ルノワール映画祭だのイタリア映画祭だのを企画していたのを知っている人からは、よく「また映画祭をやっているのですか」と呆れた顔をされる。
「いや、やっているのは学生で、私はその指導です」と答えるが、「その割には夢中になってませんか」と返ってくる。確かに、毎年開催前はウキウキしてくる。
最初の年は、「映画祭1968」で学生運動を巡る映画を集めた。これは元日大全共闘の方々が全国から来ていただいたこともあり、1600人以上入った。この時は3年生の夏休みの課題を「映画祭の企画書」にしてみたら、おもしろい企画が上がってきたので、実際にやってみるかと思った次第。
チラシを刷るまではいつでも止められると思っていたが、大学の方でどうにかその予算の手立てがついたので、やることにした。やってみたら、故・若松孝二監督などまでトークに来てくれて、ずいぶん盛り上がった。
そうなると、次の年の3年生もやるのが当然と思っている。2年目の企画は「新・女性映画祭」で、目玉は日本初のアリス・ギー作品特集。これは最初は東京日仏学院に頼んでいたが、夏休みになったので、それからは私がゴーモン・アーカイヴと交渉をしてしまった。
3年目の去年は「監督、映画は学べますか」で、12人の若手監督に来てもらって卒業制作や自主制作の作品を中心に上映した。これは監督がトークに来てもらうことが条件だったので、作品が決まらずチラシの完成が遅れた。
去年までは映画祭は理論系の必修授業のオマケだったが、今年からはコースの再編もあって、映画祭をやることが単位になるようにした。そして学生から出た企画が「ワーカーズ2014」。「働く」ということをテーマに15作品を集めた。
4月から14人に企画書を出させて議論を重ねていたが、「労働映画祭」という企画が出てきたのは6月。それから作品を学生たちが選び、上映の交渉をした。今年は初めてパンフレットを作ることになった。佐藤忠男さんを始めとする方々に学生が原稿を依頼し、私は台割の作り方を教えながら学生と共にデザイナーと打ち合わせを繰り返した。昨日、40ページのパンフレットができてしまった。
こう書いているだけで「ほらっ、やっぱり盛り上がっているじゃないですか」と言われそうだが、やはりそうかもしれない。明後日からユーロスペースでの開催なので、お暇な方はどうぞ。
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コメント
毎日楽しませていただいています。
映画祭、素晴らしい企画ですね。
ただ、上映スケジュールの表の上の期間の曜日がずれているようにおもいますが・・・。
投稿: 瀧川 毅 | 2014年12月11日 (木) 08時19分