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2015年1月 5日 (月)

1930年代生まれのスターたち:奈良原一高からゴダールへ

竹橋の東京国立近代美術館に「奈良原一高 王国」展を見に行った。どこかでそのポスターを目にして、2本の指で両目を押さえた修道僧の姿が気になったから。東近美では企画展示室で「高松次郎展」が開催中なので、こちらは常設展の一角の小めの展示だった。

北海道のトラピスト修道院と和歌山の女子刑務所を撮ったもので、発表は1958年。修道院の方は、まさに昨年見た映画『大いなる沈黙へ』そのもので、あの澄み切った世界が1950年代の日本にあったとは信じられなかった。女子刑務所の方も、その沈黙と叫びの支配する風景に心を掴まれた。

それから同じ2階のほかの常設展示室をのぞくと、三木富雄、河原温、高松次郎、工藤哲巳、中西夏之、荒川修作などの作品が数点ずつ並んでいた。奈良原一高がニューヨークを撮った写真もあった。ある雑誌が広げて展示してあって、奈良原が高松に質問状を送っていたのが興味深かった。

そこの解説パネルの一つに、この世代はおおむね1930年代生まれで、10代で敗戦を味わい、20代で高度成長を迎える体験をしたために、このような過激な前衛表現が生まれた、という意味のことが書かれていた。考えてみたら、奈良原は1931年生れで、高松は1936年生まれだ。

気になってキャプションの生年を見ると、「ハイ・レッド・センター」の中西は35年、赤瀬川は37年の生まれ。アメリカに行って驚異的な抽象美術を発表した河原温は33年生れで、フランスで活躍した工藤哲巳は35年生まれ。私がちょっと苦手な荒川修作も36年。

ううむ、みんな近い。私にとっての戦後前衛美術のスターたちは、みんな同じ頃に生まれたんだと思ってびっくりした。たぶん、美術に関しては彼らはいまだに超えられていない気がする。

家に帰って、ネットで芸術家の生年を調べてみた。横尾忠則が36年生まれ、松本俊夫が32年生まれと近い。音楽家の武満徹は30年。映画では大島渚が32年、ゴダールが30年。ちなみに蓮實重彦が36年。やはり1930年から37年までに、私の「スター」は集中している。映画もこの世代は越えられていない。

そして彼らは私の両親の世代。たぶんこれは偶然ではない。そういえば、敬愛する秦早穂子さんも同世代。くだらない世代論かもしれないが、意外に重要な気がする。昨年末にWEBRONZAで美術ベスト5を書いたけど、4つがこの世代の展覧会だった。奈良原一高展は高松次郎展と同じく3月1日まで。

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