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2015年1月29日 (木)

「ボガマリ」の新しさ

日本の食が豊かなのは、海外の料理を積極的に受け入れ、微妙に変容させてゆくところにあるのではないか。古くは天ぷらやすき焼きに始まり、ラーメンやカレーも完全に日本化してしまった。最近の変容はさらに繊細だ。

最近のスペインバルの隆盛は、明らかに西洋料理の居酒屋化だ。カウンターで好きなものをつつきながら、ワイワイやる。従来のフランス料理の型苦しさはない。シメにはパエリアだから、中身を別にすれば完全に日本式。

あるいは神楽坂の「ボン・グゥ」は、前菜食堂と銘打って、単品の小皿を安い金額で出す。こちらはスペインバルより少しだけフォーマルだが、そのクールな感じがウケて、12年のオープン以来、いつも満席状態。

先日行った北参道の「ボガマリ・クチーナ・マリナ―ラ」もまた新しい形式を打ち立てたと思う。1年ほど前にできた店だが、何とメニューがない。ワインと飲み物のリストがあるのみ。

テーブルクロスもなく、テーブルの上の紙には「当店は魚の専門店で肉はありません」と書かれている。どうするかと言えば、厨房前にずらりと魚介の並んだショーケースがあり、そこからお店と相談しながら魚と料理方法を選ぶ。

我々は4人で行ったが、2人は20分ほど遅れてきた。その間に前菜の小皿をいくつか頼み(これもメニューはなくて店の人が適当に持って来る)、さらに時間が余ったので、料理を選んでおきたいと店の人に頼んだ。

たぶん50人ほど入る店だろうか。そのショーケースの前に行くのにも順番がある。15分ほどしてそこに連れられた私たちは、お店の人のアドバイスに従いながら、適当に決めてゆく。真鯛を中心にしたカルパッチョにオリーブに魚を詰めたフライが前菜。

セコンドはタラバ蟹のリゾットにウニを中心とした海の幸のクリームソースのパスタ。そしてメインはカサゴを中心にしたアクアパッツァ。相談しながら選ぶだけで楽しくなってきた。遅く来た2人には悪いが、選ぶのが一番楽しかった。味はどうかと言えば、よかったけれど、とにかく魚尽くしでちょっと飽きた。リゾットのお米の具合や手打ちパスタの質感にも疑問が少し。料理が出てくるのも遅い。でも楽しかった。

ここもまた4人以上がオススメの店。問題は値段がさっぱりわからないところだが、4本安ワインを飲んで、1人1万円でおつりがきた。そんなに飲まなければ6000円ほどか。

ここは店主がシチリアの魚市場で同じような店を見て再現したらしいが、イタリアに20回以上行った私は見たことがない。かつて台湾を旅行した時に、澎湖島の船着き場の屋台に同じような店があった。考えてみたら、日本の小料理屋のカウンターで、板前さんと相談しながら料理を作ってもらう感覚に近い。これまた外国料理の日本化の新しい形だろう。

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