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2015年1月 2日 (金)

年末年始の読書:『創価学会と平和主義』

もともとテレビはあまり見ないけれど、年末年始はことさら見ない。だから初詣でをすますと、親戚との付き合い以外は本を読むか仕事(つまり授業関連か原稿書き)をするしかない。最近読んだのは、佐藤優著『創価学会と平和主義』。

佐藤優氏は私がいつも気にして読む評論家の一人。元外務省主任分析官で鈴木宗男議員に連座する形で投獄されたことで有名だ。

彼がおもしろいのは、国家機密レベルで海外とどのような交渉が行われているか、あるいはどのような戦略が必要かを解き明かしてくれるところにある。それは右でも左でもない。そのうえ哲学的なバックボーンがある。最近彼の書くもので公明党を擁護しているのが気になっていたので、この本を読んだ。

読んでみると、あっけないくらい公明党と創価学会を応援しているのに驚いた。どこかで非難の部分も出てくるかと思っていたら、むしろ「今の方向をもっと徹底すべき」という感じ。

集団的自衛権が閣議決定された時、与党の一員だった公明党は日頃平和主義を掲げているくせに、その旗を降ろしたのではないかという言い方がされた。それに対する佐藤氏の答えは「公明党の平和主義は本物である。それは創価学会の平和主義が本物だからだ」。

それは、この閣議決定によって「集団的自衛権行使による自衛隊の海外派兵は遠のいた」からという。なぜなら公明党がその閣議決定文にいくつもの「縛り」をかけたからで、佐藤氏は「こんなに縛りがついているんじゃ米国に要請されても、自衛隊を派遣することができない」という外務省OBの言葉を引用する。

佐藤氏は閣議決定文は「外交実務を経験した人間でなければ読み解きが難しい部分がある」と書くが、私には何度読んでも、やはり海外派兵を容易にした文章にしか見えない。

それからこの本では創価学会の歴史を説明し、あろうことか『人間革命』や『新・人間革命』を引用する。ううむ。「だからこそ、公明党と創価学会はお互いの距離を、外部の人間の目にも見える形で縮めるべきだと私は考えるのだ」とまで書く。

さらに「創価大学に仏教学科を設置して専従の教学エリートを養成し、継続的な研究ができる態勢を整備することが急務になってくる」と書く。

佐藤氏はもちろん創価学会員ではなく、プロテスタントのキリスト教徒で日本基督教団に籍を置く。たぶん佐藤氏の感覚だと、公明党は欧州に「キリスト教民主党」があるようなものだということだろう。彼が毎日聖書を読む敬虔なクリスチャンでなければ、このような公明党支持はないだろう。

それにしても、この本で公明党や創価学会に対するアレルギーは少しはなくなった気がする。「それにしても」ではあるけれど。この本を潮出版社などの学会系ではなく、朝日新聞出版が出している意味は意外に大きいのかもしれない。

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