『LEGOムービー』の驚異の世界
一部の人がフェイスブックですごいと騒いでいたのを覚えていたので、見に行った。「早稲田松竹」に行ったのは何十年ぶりか記憶にないが、何と今では椅子も座りやすく、トイレも綺麗になっていたのに驚いた。
私はレゴが何かは知っているが、一度も遊んだことはない。赤や青や黄などの派手な色のプラスチック製ブロックを組み合わせていろいろな形を作るオモチャは、私が小さい頃には少なくとも九州にはなかった。
映画が始まると、最初のタイム・ワーナー社のロゴからレゴで作ってある。主人公は建設現場で働く平凡な男エメットで、彼がひょんなことから別の世界に入り込み、奇跡のパーツを組み込んで「選ばれた人間」として活躍するようになる。そこに立ちふさがるのは、すべてを決まった通りに動かそうとする「おしごと大王」Business President。
基本的にはチャップリンの『モダン・タイムス』やオーウェルの小説で映画にもなった『1987』のような、管理社会批判の物語だ。もともと機械仕掛けのレゴでできた人間が、自由に目覚めるというところがミソなのだろう。
未来的な都市、宇宙、西部劇の世界、海の中などあらゆる場所がレゴで見せられる。レゴの極めて平板な形が組み合わさって未来的なアクションが展開するという齟齬感が何とも魅力的だ。バットマンやスーパーマンも出てくるし、ワイルド・ガールという名の美女が出てくるのもいい。『メトロポリス』や『2001年宇宙の旅』のようなSFの名作ともかぶってくる。
終盤、突然生身の人間が出てくる。そして父親がボンドで固めて作っていたレゴを、子供が自由に動かそうとした話に収斂してゆく。結局親子は和解して、ボンドを溶かして子供の世界は続くと思われたが、そこでなぜか突如妹が現れ…。
最後まで笑ってしまった。もちろんクレジットもレゴで作られている。レゴというアナログな世界をものすごい時間をかけてコマ撮りしたのかと思ったが、全編CGで作ったという。それでもレゴで映画を作るというアイデアだけでここまでおもしろいものができるとは驚きだ。監督はフィル・ロードとクリストファー・ミラー。
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コメント
アカデミー賞にこの作品が無視されてしまったのが不思議でなりません。
同じコンビの監督による『くもりときどきミートボール』『21ジャンプストリート』も良作でした。
ぜひ見ていただきたいです。
投稿: いとう | 2015年1月17日 (土) 14時09分