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2015年1月 3日 (土)

年末年始の読書:『資本主義の終焉と歴史の危機』続き

この本に書かれた日本の今後の対処法は重要なので、あえて続きを書き留めておきたい。まずアベノミクスを批判する。「量的緩和は実物経済に反映されず、資産価格を上昇させてバブルをもたらすだけです。一方、公共投資を増やす積極財政政策は、過剰投資を維持するために固定資産減耗を一層膨らますことになります」

「そしてこのふたつの経済政策はどちらも雇用者の賃金を犠牲にすることになります」

ここで水野氏が説くなすべきことは、まず1000兆円の国家債務をこれ以上増やさないことと、エネルギー問題を解消することの2つ。「社会保障を含めてゼロ成長でも維持可能な財政制度を設計しなければいけない」

またグローバル資本主義に対しては、「少なくともG20が連帯して、巨大企業に対抗する必要があります。具体的には法人税の引き下げ競争に歯止めをかけたり、国際的な金融取引に対するトービン税のような仕組みを導入する」。ここにおいては、ピケッティの『21世紀の資本』にかなり近い。

水野氏が提案するのは「定常状態」の社会のようだ。「この定常状態を実現できるアドバンテージをもっているのが、世界で最も早くゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレに突入した日本です」。そのためには「労働時間の規制を強化して、ワークシェアリングの方向に舵をきらなければなりません」

「ゼロインフレであるということは、今必要でないものは、値上がりがないのだから購入する必要がないということです。消費するかどうかの決定は消費者にあります。ミヒャエル・エンデが言うように豊かさを「必要な物が必要なときに、必要な場所で手にいる」と定義すれば、ゼロ金利、ゼロインフレの社会である日本は、いち早く定常状態を実現することで、この豊かさを手に入れることができるのです」

彼は「その先にどのようなシステムをつくるべきなのかは、私自身にもわかりません。定常状態のイメージこそ語ったものの、それを支える政治体制や思想、文化の明確な姿は、21世紀のホッブズやデカルトを待たなけれなならないのでしょう」

キーワードは「定常化社会」。これは何となくいい感じがする。国の借金をこれ以上増やさず、エネルギー消費を減らし、太陽熱発電などを増やす。労働者の給料の格差を減らす。そして必要なもの以外は買わないけれど、みんながそれなりに毎日を楽しめるようにする。そうしたら住みよくて海外からも尊敬される国になる気がする。何だかできそうな気がするのだが。

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