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2015年2月27日 (金)

京都の話:その(4)美術館

京都に行くたびに、そのまま行って帰るだけでは惜しいので、どこか寺社や美術館に行くことにしている。できたら一度も行ったことのないところがいい。最近行ったのは、京都国立博物館の平成知新館と細見美術館。巨大な国立博物館と小さな個人美術館である。

平成知新館は、京博の常設展示施設が新しくなったもので、去年の9月にオープンした。20年ほど前にこの美術館で大英博物館からインド美術を借りてきて1週間ほど展示作業をしたはずだが、常設展がどうだったか、全く記憶にない。

いずれにしても、新しい展示室は谷口吉生の建築で、外から見ても何とも優美で心地よい。そして中に入って驚いた。照明を落とした暗い室内に、仏教彫刻が燦然と輝いている。おそらく最新のLED照明だろうが、ここまで劇的な空間ができるのかとびっくり。

入口にあった金剛力士立像の2体に見とれてしまった。それから不動明王坐像とか大日如来坐像とか見ているだけで、時間が過ぎてしまう。慌てて歩き出すと、季節にちなんでか、雛人形の展示があった。もちろん今の人形ではない。雛祭りで人形を飾るようになったのは江戸時代かららしく、その頃の人形があった。

人形の顔には表情がない。衣装は凝っているが、顔はまん丸の真っ白に口や鼻が書かれた無愛想なものが多い。子供たちが「こわーい」と言っているのが聞こえた。ほかにも、丸々と太った御所人形や素朴な賀茂人形などもあった。

2階や3階に登る階段もあちこちにあって、楽しい。2階では、絵巻物や涅槃図もよかったが、江戸時代の障壁画がすばらしい。若冲の《群鶏図》は大きな鶏が二匹描かれているが、よくみると細部はかなり誇張されてて漫画的だ。写実の中にシュールを紛れ込ませているようで飽きない。

東京国立博物館は新しい平成館を企画展示室用にしているが、新しい空間はむしろ常設展示に向く。企画展示はそのたびに壁を作るので古い展示室でもいいが、所蔵品の展示は最新の展示空間でないと映えない。だから京博の方が正解。

若冲といえば、細見美術館でも若冲を見た。《鼠婚礼図》という小品だが、結婚式でご馳走を食べるのに夢中な鼠や酒を飲みながら遅れてくる鼠などユーモラスで楽しい。こちらは地下2階の本当に小さな美術館で作品も小さいものが多いが、神坂雪佳の数点など見ごたえがあった。コレクションを入れ替えながら展示しているようなので、また行きたいと思った。

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