« せっかちで見た『味園ユニバース』 | トップページ | 白黒映画の喜び:『パプーシャの黒い瞳』 »

2015年2月25日 (水)

スノビズム考:その(1)ウディ・アレン

4月11日公開のウディ・アレンの新作『マジック・イン・ムーンライト』を見て、この監督はとんでもないスノッブじゃないかと考えた。あるいはむしろ、彼の映画を好きな世界中の人はスノッブではないか。

かつてはニューヨークのスノッブなインテリを自ら滑稽に演じていたが、最近では舞台は米国のみならず、ベネチア、バルセロナ、ロンドン、1920年代のパリなどまで巡って、男女の機微をスマートに描いてゆく。登場人物はだいたい金持ちで、絵画や文学や音楽が次々に引用される。

そして今回は1920年代の南仏が舞台。英国人の奇術師(コリン・ファース)が、南仏でアメリカの資産家をたぶらかしている女性占い師(エマ・ストーン)のウソを暴こうとするいう設定だ。ところが奇術師は占い師に恋に落ちてしまい、話は複雑になる。

おもしろいのは、堅物で皮肉ばかり言うコリン・ファースが、いつの間にかエマ・ストーンの魅力にはまっていくところ。それでも素直に認めず、あえて嫌われるようなことばかり言う。一方のエマ・ストーンは素直で純粋な女性に見えるが、実はウラがあって、というのもいい。

そして何より彼女の衣装がすばらしい。シーンごとに1920年代のモダン・ガールの多彩な着こなしを見せてくれるし、彼女の大きな青い目が南仏の海や空や自然にぴったり。コリン・ファースの抑えた知的ないでたちも、よく見ると出てくるごとに違うし、実に凝っている。

そして最後にはそれこそマジックのようにハッピー・エンドが待っている。今回のアレンはドラマも少ないので、だから何だと言えなくもないが、それでも贅沢な気分はたっぷり味わえる。音楽は全体に軽快なジャズが流れ、ストラビンスキーやベートーベンも聞こえてくるし、ディケンズやニーチェなどの引用もある。

そんな映画を好きだということ自体がスノッブなのかもしれない。とりわけアレン本人が出なくなってからは、滑稽味が少なくなって、一本調子のスノッブが目立っている気もする。

スノッブと言えば、毎日毎日、映画や美術やレストランの話を自慢げに書く私自身が一番スノッブなのかもしれない。

|

« せっかちで見た『味園ユニバース』 | トップページ | 白黒映画の喜び:『パプーシャの黒い瞳』 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/61189593

この記事へのトラックバック一覧です: スノビズム考:その(1)ウディ・アレン:

» 映画:マジック・イン・ムーンライト Magic in the Moonlight  ウディ・アレン新作は息抜きお気楽ムービー [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
機内映画で鑑賞。 「The Maze Runner」「The giver」(そのうちアップ予定)と、今のアメリカっぽくイマイチなSF × 2本にゲンナリ(笑) じゃ次はもっと固めにしようと、タイトルに惹かれ、突入。 すると、タイトルバックが出、音楽が鳴り出すと、やけにウディ・ア...... [続きを読む]

受信: 2015年2月26日 (木) 00時33分

« せっかちで見た『味園ユニバース』 | トップページ | 白黒映画の喜び:『パプーシャの黒い瞳』 »