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2015年2月 4日 (水)

『イミテーション・ゲーム』の巧みさ

アメリカのアカデミー賞のノミネートが発表されると、2月末の受賞式まではそこに選ばれた映画の試写が混み始める。もともと、選ばれそうな映画の公開は、発表直後に予定されていることが多い。

カンヌやベルリンなどの欧州の映画祭で金賞を取っても、日本ではその映画が当たるとは限らないが、アカデミー賞はノミネートだけでも興行を左右するようだ。現に『ベイマックス』はアニメーション賞にノミネートされてから、観客が増えているというし。

そんなわけで、作品賞を含む8部門ノミネートの『イミテーション・ゲーム』の試写には30分前に行った。公開は3月13日公開で、まさに発表直後。監督のモルテン・ティルドムは知らなかったが、主演は飛ぶ鳥を落とす勢いのベネディクト・カンバーバッチ主演。アカデミー賞についてある雑誌にエッセーを書く予定なので、見なければと思った。

ところが既に長蛇の列。これは入れないなと思ったが、聞いてみるとどうにか入れるという。ところが前の映画が長引いたのか入場は15分前で、青山通りに面したギャガの試写室の前にブルブル震えながら待つことに。

映画は、なかなか巧みに作られていると思った。カンバーバッチ演じるアラン・チューリングは、第二次大戦中の英国でナチスドイツの暗号を解読した数学者で、彼の人生を中心に映画は展開する。

まず、これまで機密扱いにされていたために無名だった天才を描くという設定がうまい。それが戦争終結を2年は早めたというから、現代人の共感を得やすい。そのうえ、彼の作る暗号を説く機械は現在のコンピューターの原理となったというから、わかりやすい。

そして彼は天才であるのみならず、相当の変人である。他人とはうまく協力ができないどころか、話し方も独りよがり。全く不器用だが、実は素直で愛すべき存在。そんなキャラクターがカンバーバッジにピッタリで、見ていて愛おしくなる。彼を好きになるのがキーラ・ナイトレイ演じるジョーンだが、彼女も一風変わっている感じが似合う。

そのうえ彼には少年時代の秘密があった。映画は1939年から数年間のロンドンの機密基地を中心に進むが、時おり1951年の現在と、1921年の少年時代のエピソードが入る。その2つから、次第にこの男の秘密が明らかになってゆく。

もちろん核となるのは、どのようにして暗号を解く機械を作るかだが、巨大な計算機のようなアナログな機械もよいい感じ。そこにチューリングを中心としたメンバーが、あらゆるデータを打ち込んで、暗号を見破ろうとする。

映画としては暗号を見破る過程をもっとじっくりと見せて欲しかったが、これだけ盛りだくさんなので、その余裕はなかったのかもしれない。いかにもアカデミー賞向きの1本。

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