京橋で展覧会ふたつ
京橋で展覧会を二つ見た。ひとつは、今日で終わるフィルムセンターの「ミュージカル映画の世界」展で、もうひとつはブリヂストン美術館で5月17日までの「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展。一応映画を教えているので、フィルムセンターの展覧会は必ず見ようと思っている。
「ミュージカル映画の世界」展は、主として米国オリジナル版のポスターが並んでいる。多くは和田誠氏と大山恭彦氏所蔵のもので、日本版も数点ある。すべて複製ではなく当時のものだけに、その退色や黄ばみなども含めて、何とも言えないノスタルジックな雰囲気が漂う。
数点は米国版の横に日本版のポスターが並んでいる。日米でほぼ同じデザインは、『雨に歌えば』と『紳士は金髪がお好き』くらいか。『雨に歌えば』は左手の位置が違ったり、『紳士は金髪がお好き』の日本版は上に一行「あなたは、どちらがお好き」と書かれていたりする。
そういう楽しみはあったが、それ以上のことはなかった。もともと自分がミュージカルにあまり関心がないのが大きいのだが。いい大人が突然歌を歌って踊り出すというのは、昔からどうも気恥ずかしい。それにしても、こういうポスターは当時はふんだんに映画会社にあったのに、今では会社はともかくフィルムセンターにもないのだと実感。
「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展は、ブリヂストン美術館がビル改装で5月18日から数年にわたって閉館するというので企画された、究極の所蔵名品展。確かにセザンヌやルノワールやピカソなどのいつも目にした秀作を一度に見ることができる。
実を言うと、私は久しぶりに青木繁の《海の幸》や《わだつみのいろこの宮》を見たかったのだが、これは3月31日からの展示だった。なぜならこれらは福岡県久留米市の石橋美術館にあって、高校生の時、美術の先生に連れられて見た最初の有名画家の実物の絵だったから。
これを語り出すと「高校ノスタルジア」になるので、別の機会に。ブリヂストンの名品展を見ながら考えたのは、そこにある絵は大きく言うと、19世紀後半から20世紀初頭のパリを中心にした印象派からポスト印象派と、1950年代からのニューヨークを中心にした抽象表現主義やアクションペインティングに分かれるということだ。
直前にフィルムセンターにいたせいか、映画の歴史をそこにかぶせてみた。1880年代の映画前史から映画が生まれ、1910年代にアメリカを中心に古典的映画様式が確立する。1950年代からフランスを中心にヌーヴェル・ヴァーグが生まれ、映画の常識を覆す。
米仏の順序が逆なだけで、何と見事に呼応していて嬉しくなった。ゴダールを抽象表現主義と比べて論じることが必要なのかもしれない。
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