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2015年3月30日 (月)

スイスデザイン展に考える

初台の東京オペラシティアートギャラリーで、「スイスデザイン展」を最終日に見た。この春休みは久しぶりに余裕ができたせいか、行き当たりばったりな日々を過ごした。その結果、展覧会は最終日近くに駆け込むことが多い。

「スイスデザイン」と言っても、正直なところピンとこない。展示されているのは、ナイフのヴィクトリノックスや鞄のフライターグ、時計のスウォッチ、靴のバリーなど。それだけしかブランドないのかという感じ。

冒頭に日本とスイスの交流史関係の資料が並ぶ。この企画が日本・スイス国交樹立150年企画とはいえ、岩倉具視訪欧使節団がスイスで撮った写真なんて、デザインと何の関係もないのではと思う。いかにもお国の企画に見えてしまう。

それ以上に思ったのは、スイス航空やヴィクトリノックスのナイフがそうだが、やたらに赤に白十字の国旗をデザインに使っていること。小国だからかもしれないが、そんなにデザインが国と一体化できるなんて、不思議な気がする。カナダのメイプルリーフもそうかもしれない。

ヴィクトリノックスやスウォッチはスイスだと知っていたが、私はフライターグはドイツだと思っていたし、バリーはフランスだと思っていた。バリーは、パリに留学中に初めて買ったブランドものの靴だが、またノスタルジアになるのでこれはここまで。

最後にル・コルビュジエの部屋があるが、これまた私はフランス人だと思っていた。真ん中あたりにある、グラフィックデザインやタイポグラフィーは興味深かったが、物足りない。原弘など、戦後日本のグラフィックデザイナーはスイスのデザインを大いに参考にしたはずだが、そこへの言及もない。展示してあるポスターを見れば、田中一光などそこから出てきているのがすぐわかるのに。

スイスには3回行ったが、あまりいい思い出はない。最初の2回は1992年のロカルノ国際映画祭とニヨン・ドキュメンタリー映画祭、もう1回は2005年にジュネーヴへ展覧会の交渉に行った。これについても今日は触れない。

実はこの展覧会で一番ショックを受けたのは、上の階の所蔵品展だった。「木を彫る」というテーマで、現代の木版画が並んでいる。そこに忽然と神山明さんの小さな彫刻が2点現れた。《遠くからひびく》と《同胞》。神山さんらしいタイトルの小品はともに1998年作だが、その優しさとクールさで周囲の木版画を温かく包んでいた。

2年と少し前に亡くなった神山さんのことを考えていたら、すぐ後に舟越桂さんの同じ頃の小さな木版画が並んでいた。おふたりとも、1989年にサンパウロに一緒に行ったメンバーなので、その偶然に驚く。年を取ると、何を見てもノスタルジアになる。

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