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2015年3月 4日 (水)

『ジョーカー・ゲーム』の架空感

入江悠監督の『ジョーカー・ゲーム』をようやく劇場で見た。『SR サイタマノラッパー』シリーズなどの自主映画で有名になったこの監督が、日テレ・東宝製作の大作でどんな演出を見せるか気になっていた。

その前の『日々ロック』は松竹製作だが、予算も大きくないので、半分インディーズのノリだった。それでも二階堂ふみなどのスターが出ていたこともあってか、全体に不発な感じがあった。『サイタマノラッパー』に比べて、全体に作り物のようで登場人物たちの生の声が伝わってこないというか。

今回の映画は、インディーズらしいところはない。派手なアクションとサスペンスを中心の娯楽B級映画として大衆を楽しませるものができたのではないか。正直、助監督経験のない自主映画の監督が、これほど普通の娯楽ものを作るとは思わなかった。

映画は戦前の日本軍のスパイ組織を描く。主人公の新米スパイ・嘉藤役が亀梨和也でその上司役が伊勢谷友介。嘉藤が出会う謎の女が深田恭子。舞台は最初香港や上海かと思ったが、もっと南の感じだし、実際に架空の都市に設定されている。嘉藤はその都市で米国大使館から新型爆弾設計図を盗もうとする。

出だしのあたりは増村保造の『陸軍中野学校』そっくりだが、秘密機関のメンバーの雰囲気がどうもそれらしくない。そのくだけた感じは、むしろサイタマノラッパーのラッパーたちに近い。さらに嶋田久作を中心とする陸軍幹部がいかにも軽くて、ニセモノ感がいっぱい。深田恭子も通俗的にエロい。

それでも銃やトランプ、モールス信号、盗聴器などの小物を巧みに使いながら、ノンストップでアクションは進む。とりわけ最後の塔の上での英国諜報部とのアクションはなかなか。さらに実際はインドネシアで撮影したという謎の都市のオープンセットもよくできている。ありえない、ありえないと思いながら、最後まで飽きずに見た感じか。

終わってみると1時間48分は長くない。終わり方も何となく続編がある感じだが、興収は10億円あたりのようなので微妙なところか。いずれにしても、入江悠監督の娯楽映画を撮る力は証明されたわけだから、今後も大作が続くのではないか。

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