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2015年5月 2日 (土)

15回目のイタリア映画祭:その(3)

映画のおもしろさの一つに、多種多様な人物が一緒になって、何かを成し遂げるパターンがある。ハワード・ホークスの映画がまさにそうだが、人物や装置が過不足なく集まって、一つの「世界」が完成する。このタイプの映画を今年のイタリア映画祭で3本見た。

一番よくできていたのは、ジュリア・マンフレドニア監督の『僕たちの土地』。南イタリアのかつてマフィアが支配していた場所で、有機農業を立ち上げる人々の物語だ。イタリアには、マフィア所有の土地を政府が接収する法律があるという。

ここでうまいのは、北部から来た反マフィア運動団体の青年フィリッポ(ステファノ・アッコルシ)を主人公に据えたこと。協同組合を立ち上げて数日で去る予定だったが、集まってくるおかしな仲間たちに祭り上げられて、組合長になってしまう。知的だが臆病な彼が、地元の人々に次第に溶け込む様子が巧みに描かれる。

そこに集まった素人同然の10名ほどが、悪戦苦闘しながら有機農法でトマトやブドウを育ててゆくさまが見ていて楽しい。そこには獄中のマフィアのボス、サンソーネからの指示で、たびたび邪魔が入る。ついにはサンソーネが仮出獄し、本格的な妨害が始まる。

この活動が成功するのか最後まで気が気でないし、何よりも農業の過程がきちんと描かれているのがいい。ボスの小作人だったコジマ(セルジオ・ルビーニ)の存在も生きている。劇場公開して普通に楽しめる映画だが、マフィアをめぐる背景が日本人にはわかりにくいかも。

昨年1月に亡くなったカルロ・マッツァクラーティ監督の遺作『幸せの椅子』は、美容師のブルーナ(イザベッラ・ラゴネーゼ)が亡くなる直前の顧客から遺産のありかを聞いたことに始まる。近所で働く刺青師ディーノ(ヴァレリオ・マスタンドレア)と謎の司祭(ジュゼッペ・バテストン)が加わって、宝石の隠された椅子を探す。

彼ら3人の珍道中ぶりがおかしいし、椅子探しの過程で出会う人々も変人ばかり。最終的にはファンタジー的な世界に突入するが、それもまたマッツァクラーティらしい。シルヴィオ・オリランド、ファブリツィオ・ベンティヴォッリョ、アントニオ・アルバネーゼらの名優たちの友情出演も楽しい。

シドニー・シビリア監督の長編デビュー作『いつだってやめられる』は、大学で研究をする無職の研究者たちが集まって、合法的なドラッグを作って一儲けを企む物語。設定は抜群におもしろいし、大学院を出ても職がないのは日本でもある話だが、ドラッグを作ったりそれを販売したりする過程がきちんと描かれていないのが惜しい。

何となく話がうまく進行してしまうので、どこか爽快感がない。しかしながらノリの良さは抜群なので、若い人にはウケるのかもしれない。

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