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2015年5月

2015年5月31日 (日)

フィルムセンターの『瞼の母』

もう既に終わったフィルムセンターの「東映時代劇の世界 Part 2」で見た、加藤泰監督の『瞼の母』(1962)について触れておきたい。今回のシリーズはたったの2本しか見なかったが、前回見たマキノ雅弘の『江戸っ子繁昌記』(61)もこの作品も、見る者を映画にどっぷり浸らせる力を持っている。

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2015年5月30日 (土)

ボッティチェルリが文化村に来るなんて

渋谷の東急文化村のザ・ミュージアムはいつも興味深い展覧会をやってはいるけれど、国立や公立の美術館に比べると、どこか格下に見える。百貨店とつながっているから、何となくデパートの催事場みたいに見えるし(実際の系列は東急電鉄)、なにより映画館と劇場とレストランがつながったお洒落な場所だから。

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2015年5月29日 (金)

いまごろ見る『わたしのSEX白書 絶頂度』

曽根中生監督の『わたしのSEX白書 絶頂期』(1976)を、いまごろになって初めて見た。日活ロマンポルノの名作として名高いが、機会がなかった。見に行ったのは、見てきたばかりの70代後半の元教授が「すごいよ、ゴダールもロメールもオリヴェイラも全部あるよ」と言ったから。

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2015年5月28日 (木)

『ダブリナーズ』の陶酔感

最近、漱石に凝っているので、同時代の本を読みたいと思って買ったのが、ジェームス・ジョイスの短編集『ダブリナーズ』。これまでは『ダブリン市民』として知られているが、翻訳者の柳瀬尚紀氏はこの邦題にした理由を解説に書いている。

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2015年5月27日 (水)

『ローリング』の快い齟齬感

6月13日に公開される冨永昌敬監督の『ローリング』を見た。盗撮事件を起こした元教師が、10年後に戻ってきて教え子に恋人を取られてしまうというストーリーが気になったからだ。自分が教師になったせいか、学校の先生の転落モノに惹かれてしまう。

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2015年5月26日 (火)

ためになる「シネマブックの秘かな愉しみ」展

フィルムセンターで8月2日まで開催の展覧会「シネマブックの秘かな愉しみ」は、実は全く期待していなかった。映画の本は私も何百冊と持っているが、本は読むもので展示するものではない、と思っていた。

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2015年5月25日 (月)

『チャッピー』の痛快さ

ニール・ブロムカンプ監督は長編第一作『第9地区』(09)であっと言わせたけれど、次の『エリジウム』(13)は割に普通のSFになってしまった。さて3作目はと思ったら、今回の『チャッピー』は『第9地区』を思わせるようなはじけ具合で痛快だった。

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2015年5月24日 (日)

今回の「大英博物館展」の楽しみ

もう「大英博物館展」や「ルーヴル美術館展」はいらない、というのが私のこの数年来の主張だけれど、6月28日まで上野の東京都美術館で開催中の「大英博物館展」は意外におもしろかった。「100のモノが語る世界の歴史」というが、まさに人類文明の歴史を感じさせる構成だ。

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2015年5月23日 (土)

『夏をゆく人々』の土の匂い

「ネオレアリズモ」という呼称は、実は難しい。今から見ると、ロッセリーニもデ・シーカもヴィスコンティも全く違うものに見えるからだ。そんななかで、私は勝手に「土の匂い」のする映画がネオリアリズモではないかと思っている。ロッセリーニならば『ストロンボリ、神の土地』。

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2015年5月22日 (金)

既に終わった「片岡球子展」から

映画の場合、見たら翌日か遅くても数日のうちにここに感想を書く。そうしないとすぐに細部を忘れてしまうから。ところが美術展の場合は、チラシとHPがあれば後からでも書けるので、つい後回しになってしまう。今日はだいぶ前に見た片岡球子展」について書いておきたい。

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2015年5月21日 (木)

『私の少女』のミニマルな魅力

『国際市場で会いましょう』に次いで、また劇場で韓国映画を見た。チョン・ジュリ監督の『私の少女』だが、このブログへのコメントでおもしろいとあった。それから『冬の小鳥』と同じく、韓国女性の第一回監督作品というのも気になった。

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2015年5月20日 (水)

漱石はパンクである

2003年に私が関わった小津安二郎生誕百年記念の国際シンポジウムで、ポルトガルの監督、ペドロ・コスタは「小津はパンクである」と言って話題になった。彼によれば、20代半ばでパンクロックに凝っていた頃、小津を見たらパンクのようにストレートでモダンでカッコいいと思ったという。

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2015年5月19日 (火)

3回は泣いた『国際市場で会いましょう』

何とも軽い『脳内ポイズンストロベリー』を見たので、その反動なのかコテコテの韓国映画『国際市場で会いましょう』を見た。見ている間、最低でも3回は泣いてしまった。隣の60歳過ぎの女性は、冒頭からハンカチを出して泣き通しだったけれど。

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2015年5月18日 (月)

『脳内ポイズンベリー』の真木よう子を楽しむ

中学生の時から映画は好きだが、スターに憧れたことがなかった。大学生になると気にいった映画の監督名を覚えるようになったが、好きな俳優というものがいなかった。今でも俳優の名前は日本人でも外国人でもなかなか覚えられない。

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2015年5月17日 (日)

原武史著『皇居前広場』を読みながら

原武史もまた、その著書がいつも気になる書き手だ。『滝山コミューン1974』は、1970年代の郊外団地の活動に息を飲んだし、講談社の『本』の鉄道をめぐるエッセーはいつも楽しみに読む。最近買ったのは『完本 皇居前広場』。

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2015年5月16日 (土)

『さよなら、人類』再見

最近は、去年の9月のベネチアに出た映画を再見することが多い。『バードマン』も『ルック・オブ・サイレンス』もそうだが、8月公開の『さよなら、人類』もそうで、ベネチアで金獅子賞を取った作品。原題は「存在について考えながら枝に止まる鳩」。

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2015年5月15日 (金)

鳥獣戯画展で肘鉄を食う

金曜の夜は20時まで開ける美術館が増えた。そしておおむね夜間開館は混んでいない。なぜなら美術展のメイン観客の中高年層は早く帰ってしまうから。ある日の金曜日の夕方に時間が空いたので、上野の「鳥獣戯画」展と「大英博物館展」を見に行った。

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2015年5月14日 (木)

『ルック・オブ・サイレンス』を再見

6月下旬公開の『ルック・オブ・サイレンス』は、昨年のベネチアで見ていたがもう一度見た。前作『アクト・オブ・キリング』に続いて1965年のインドネシアで起きた100万人の大虐殺をめぐるドキュメンタリーだが、加害者と被害者の対話の細部を日本語字幕で確認したいと思った。

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2015年5月13日 (水)

大量の本をどうするのか

とにかくよく本を買う。大学に移ってからは研究室という新たな場所ができたこともあって、遠慮しなくなった。ところが6年もたつとそれも満杯になった。最近は『本で床は抜けるのか』という本も話題になっているようだが、大量の本に困っている人は多い。

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2015年5月12日 (火)

古典に驚く:その(2)『漱石書簡集』

朝日新聞で『こころ』の連載が始まってから、初めて新聞の連載小説を読むようになった。『三四郎』『それから』と続けて読んでいる。そんなことから手に取ったのが、岩波文庫版『漱石書簡集』。

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2015年5月11日 (月)

『極道大戦争』を楽しむ

6月20日公開の三池崇史監督『極道大戦争』が楽しかった。チラシには「三池崇史の原点回帰」と書かれているが、私は彼の初期のVシネマ作品などを見ていないので「原点」はわからない。しかしこの映画を見て、それはB級映画のハチャメチャ感覚なのではと思った。

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2015年5月10日 (日)

小林清親展の魅力

東京芸大美術館の「ダブル・インパクト展」にも出ていた小林清親の大規模な個展が、5月17日まで練馬区美術館で開かれている。明治時代に活躍した「最後の浮世絵師」と呼ばれているが、彼のモダニズムが何とも魅力的だ。

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2015年5月 9日 (土)

『寄生獣 完結編』に退屈する

前篇を見てそれなりにおもしろかったし、山崎貴監督だしと思って完結編を見に行った。ところがこれが退屈だった。やたらに田宮(深津絵里)や後藤(浅野忠信)などの芝居がかったセリフが多く、何だか説教臭かった。

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2015年5月 8日 (金)

古典に驚く:その(1)『共産主義者宣言』

大学で教えていると、授業の準備でいわゆる古典を再読することが多い。するとその現代性にあっと驚くことがある。最近の一番は、カール・マルクスの『共産主義者宣言』。かつては『共産党宣言』と訳されてきた。

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2015年5月 7日 (木)

『セッション』の不思議な魅力

アカデミー賞を3部門受賞した『セッション』をようやく劇場で見た。歌舞伎町にできた新宿TOHOシネマズに行きたいと思っていたら、TCXという大きなスクリーンでやっていたので行くことにした。席についてみると、ほぼ満員でびっくり。

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2015年5月 6日 (水)

『インヒアレント・ヴァイス』の眩暈

「難しい映画」というものがある。物語が複雑だとか、語り方が丁寧でないなどいろいろな要因があるが、大半は映画をたくさん見て慣れればわかるようになる。ところが現在劇場で公開中のポール・トーマス・アンダーソンの『インヒアレント・ヴァイス』は、本質的に難しい映画だろう。

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2015年5月 5日 (火)

15回目のイタリア映画祭:その(4)

フランス映画もそうだが、戦後のイタリア映画には明らかに二つの方向があった。つまり、ロッセリーニらのネオリアレズモを引き継ぐ作家の映画と、物語の楽しみを基本においた娯楽映画と。ところが、これまたフランスでもそうだが、最近はその中間の映画が増えた。

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2015年5月 4日 (月)

上野千鶴子のアナーキー

私がその言動をおおむね信用している一人に上野千鶴子がいる。彼女の本を全部読んだわけではないが、最近のものはインタビューでもエッセーでもだいたい納得する。最近朝日新聞の夕刊に「人生の贈りもの 私の半生」という連載シリーズに彼女が出ていて、これが抜群におもしろい。

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2015年5月 3日 (日)

29回目のイメージフォーラム・フェスティバル

GWの映画祭には、「イタリア映画祭」以外に「実験映画」を中心とした「イメージフォーラム・フェスティバル」がある。カタログにはこれまでの受賞者が書かれているが、それによると87年に始まったようだ。つまりは今年で29回目ということになる。

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2015年5月 2日 (土)

15回目のイタリア映画祭:その(3)

映画のおもしろさの一つに、多種多様な人物が一緒になって、何かを成し遂げるパターンがある。ハワード・ホークスの映画がまさにそうだが、人物や装置が過不足なく集まって、一つの「世界」が完成する。このタイプの映画を今年のイタリア映画祭で3本見た。

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2015年5月 1日 (金)

GWの尾形光琳と印象派

何度も見ていても、宗達とか光琳とか抱一とか、江戸琳派の名前を聞くと見たくなる。この5月17日まで、青山の根津美術館で「尾形光琳300年忌特別展 燕子花と紅白梅」が開かれているので、いそいそと見に行った。混まないはずの平日の午後を選んだが、それでも人は多い。

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