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2015年5月15日 (金)

鳥獣戯画展で肘鉄を食う

金曜の夜は20時まで開ける美術館が増えた。そしておおむね夜間開館は混んでいない。なぜなら美術展のメイン観客の中高年層は早く帰ってしまうから。ある日の金曜日の夕方に時間が空いたので、上野の「鳥獣戯画」展と「大英博物館展」を見に行った。

ともに昼間は平日でも混んでいるだろうと思ったから。まず、東京国立博物館に6時頃に着いたが、「鳥獣戯画のコーカンは2時間待ちでーす!」という声が聞こえた。「コーカン」は「交換」かな、まさか「股間」ではあるまいなどと考えながら、とりあえず平成館へと向かった。

入り口には3列20メートルほどの列。また「コーカンは2時間待ち」という声が聞こえたが、その男性に「鳥獣戯画を見ないなら入れますか」と聞くと「どうぞ」と言うので、列を無視して建物に入った。

その時である。列の人々が10人くらい後ろから来たと思ったら、私の肩に突然肘鉄をぶつけた男がいた。「痛いっ!何ですか。私はさっき許可を得て入っていますよ」と言うと、60過ぎのむさい感じの男は無言で私を睨みつけて、足早に逃げて行った。

一瞬、自分が鳥獣戯画の世界にいるような気がした。こちらはウサギで、相手はサルか。もともと私はこういうタイプの日本人が苦手だ。勘違いして怒りを勝手に爆発させて、無言で暴力をふるう。こちらが会話をしようとすると、逃げ去る。非論理的暴力とコミュニケーションの拒否。こういう人が戦争を始めるのではないか。

鳥獣戯画は展覧会の最後にあった。それまではあまり混んでいない。鳥獣戯画を持っている高山寺関連の掛け軸や明恵上人像などが並んでいる。それから12世紀から14世紀の絵巻物が並ぶ。このあたりになると、みんな最後の鳥獣戯画に体力を温存するのか、国宝の《仏眼仏母図》や《華厳宗祖師絵伝 義湘絵》など全く混んでいない状態で見ることができた。

《義湘絵》は何ともドラマチックな悲恋の物語。好きな男を守るために龍に化ける場面を見ながら、ドキドキした。さてそれらを見終わって、鳥獣戯画に行こうとすると、「丁」「丙」「乙」と書かれている。「コーカン」は「甲巻」であった。7時前の時点で相変わらず「甲巻」は2時間待ち。

「甲」以外は40分待ちだったが、また肘鉄を食らうといけないし、もともと鳥獣戯画はサントリー美術館で10年ほど前にじっくり見たので、東京都美術館で「大英博物館展」を見た。こちらは予想外におもしろかったが、これについては後日。肩はどつかれたけれど、初夏の日暮れ時の風はなんとも心地よかった。

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