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2015年5月 1日 (金)

GWの尾形光琳と印象派

何度も見ていても、宗達とか光琳とか抱一とか、江戸琳派の名前を聞くと見たくなる。この5月17日まで、青山の根津美術館で「尾形光琳300年忌特別展 燕子花と紅白梅」が開かれているので、いそいそと見に行った。混まないはずの平日の午後を選んだが、それでも人は多い。

今回の目玉は、光琳の《燕子花図屏風》(根津美術館蔵)と《紅白梅図屏風》(MOA美術館蔵)という光琳の二大国宝が揃うこと。チラシには「そろい踏みは56年ぶり」と書かれている。

確かに金を背景にしたこの2点を同じ壁面に並べて見ると、「豪華絢爛」という言葉がそのまま当てはまる。そのうえ、色彩を絞り込んで大胆な構図を打ち出していて、細部は写実的ながら、全体は写実から大きく離れたデザイン感覚に満ちている。

とりわけ《紅白梅図屏風》は、左右の梅の真ん中に、茶色で描かれた流水が大きく横たわる。人を食ったような大胆不敵な構図には、何度見ても驚く。梅の木に見える緑のどこか幻想的な描き方にも心が動く。

その前に宗達工房を示す「伊年」印の《四季草花図屏風》(根津蔵)と伝宗達の《蔦の細道図屏風》(相国寺蔵)の2点があった。どちらも金屏風作品だが、後者のデザイン性の強さが印象に残った。下半分は緑で、真ん中に草の生えた金の道が斜めに走り、上半分の金の空には詩が書かれている。その横長を斜めに切る空間は、明らかに光琳の《燕子花図屏風》に受け継がれている。

展示されていた琳派の屏風絵はわずかに7点だったが、十分に楽しんだ。5月4日以降は、艶やかな孔雀を描いた《孔雀立葵図屏風》が出るので、また行きたい。この美術館は庭園がすばらしく、なんと本物の燕子花(カキツバタ)を見ることができる。本物は光琳に比べるとずいぶん地味だけれど、18世紀の江戸絵画と本物の両方を見比べるなんて何と優雅な体験だろうか。

観客を見ると、和服で着ている女性がかなり目についた。着物を着て光琳を見に行くような、そんな余裕のある人々もいるのだと改めて思った。それがGWの爽やかな季節に似合っていた。

その後に駆け足で三菱一号館美術館で、「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」を見た。富豪の娘、エルイサ・メロンが収集したものらしいが、いかにもアメリカらしい選択が興味深かった。68点のうち、モネとセザンヌは2点ずつしかなく、やたらにルノワールとボナールが目につく。革新的な絵画よりも、「目に優しい」ものを選んだことがよくわかる。

こちらは5月24日まで開催。根津の光琳を見た後だと、どうしても印象の薄い「印象派」に見えたが。

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