« 古典に驚く:その(2)『漱石書簡集』 | トップページ | 『ルック・オブ・サイレンス』を再見 »

2015年5月13日 (水)

大量の本をどうするのか

とにかくよく本を買う。大学に移ってからは研究室という新たな場所ができたこともあって、遠慮しなくなった。ところが6年もたつとそれも満杯になった。最近は『本で床は抜けるのか』という本も話題になっているようだが、大量の本に困っている人は多い。

そんな時、先月のある日曜日の日経新聞で、仏文学者の鹿島茂さんが「学者のユートピア」という長めのエッセーを書いていたのを見つけた。かつては学者の蔵書は大学の図書館が預かってくれたし、古本屋に売ることもできた。しかし今では大半の図書館は収容能力が飽和状態にあるし、若い学者はデジタル資料を使うので古本屋に頼らない。

つまり給料の中から大枚をはたいて買った大量の本は、資源ごみにしかならない。そこで鹿島氏が思いついたのは「スカラトピア(学者のユートピア)構想」。いま流行の介護付き老人ホームの「学者・研究者限定バージョン」を作ることの提案だ。

「研究者が数百人単位でこの「スカラトピア」に居住すれば、付属図書館が充実するだけでなく、別種の「学士院」が成立するはずだ。談話室や食堂では日夜、居住者である研究者たちの活発な議論が交わされるから、文字通り「多分野交流」が実現する」

そんなものを作る場所があるのかという問いに対して、「都心回帰した大学が都市郊外に残していった校舎群である。図書館はすでに立派なものがあるし、校舎を改造すれば、単身者用や夫婦用の居住棟などすぐに作れるはずだ」

仮に資金的にそれが可能だとして、果してそんなところに入りたいだろうか。昔、スイスのダニエル・シュミットという監督に『トスカの接吻』というドキュメンタリーがあった。ミラノにある「ヴェルディの家」という元音楽家用の老人ホームを撮ったものだが、老人達の自慢やライバル意識は凄まじかった記憶がある。

私は、例えば映画史家の集まる老人ホームには入りたくない。世界各地の映画雑誌を共同で購入して、届いたとたんに競って読む図を想像すると恐ろしくなる。あるいはゴダールのDVDを見ながら寝ている老人とか。

しかしながら、仲の良い友人達と10部屋くらいのアパートに住むのは悪くないかもしれないと思う。子供のいない人も増えているので、友人たちと相互に手助けするような施設ならば住みやすそうだ。

|

« 古典に驚く:その(2)『漱石書簡集』 | トップページ | 『ルック・オブ・サイレンス』を再見 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/61581924

この記事へのトラックバック一覧です: 大量の本をどうするのか:

« 古典に驚く:その(2)『漱石書簡集』 | トップページ | 『ルック・オブ・サイレンス』を再見 »