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2015年6月10日 (水)

『夫婦フーフー日記』に落胆

前田弘二監督は、『婚前特急』や『わたしのハワイの歩き方』が気にいっていたので、新作の『夫婦フーフー日記』を劇場に見に行った。ところが今回はちょっと落胆した。これまでのような、抜群のリズム感や人物を取り巻く周囲の気配が欠けている。

物語は、編集者で作家志望のコウタ(佐々木蔵之介)が、17年間友人関係だったユーコ(永作博美)と結婚し、子供ができるが、死んでしまうというもの。これを死後にコウタの前に現れるユーコの幽霊との会話を通じて、再現してゆく形で展開する。

この複雑な構成がいまひとつ機能していない。本当に好きなのか、結婚してもはっきりしないふたりの不思議な感じは前田監督らしくてうまいけれど、悲劇を喜劇として見せるやり方が成功していない。

もちろんふたりの俳優はすばらしく、とりわけハンバーガーを口を大きく開けてぱくつくシーン(永作が3回、佐々木が1回)は、見ていて何とも楽しくなる。直接的で言いたい放題のユーコと、のんきだが安定感のあるコウタの組み合わせは、実に好感が持てるのだが。

それでもおもしろくなかったのは、脚本が複雑すぎて、個々の場面の雰囲気が作れなかったなかったからではないか。

この映画を見たのは新宿ピカデリーだったが、時間があったので、メンバーズカードを作ってみた。ところが手数料が100円と言われたのにびっくり。東宝のカードはクレジット機能がついて無料だが。そのうえ松竹のカードは紙でできていて、これではテアトルグループとおんなじだ。

100円払ってカードをもらった後に、何とネットでその番号を登録しないと一切の特典はもらえないという。これでは、ネットを使えない高齢者を最初から相手にしていないことになる。現在の映画ファンの中心は中高年なのに。

もらった説明書を読んでいたら、松竹のMOVIXは九州や四国、北海道に劇場を持っていないことに気がついた。調べてみたら、昨年末でスクリーン数では全国4位。1位はTOHOシネマズかと思っていたら2位で、1位はイオンシネマ。3位のユナイテッド・シネマがローソンに買われたことを考えると、映画興行は流通に支配されつつあるのか。

『夫婦フーフー日記』がつまらなかったので、話が横へ逸れた。そういえば、この映画を「朝日」で秋山登氏が絶賛していたが、やはり彼がホメる映画は避けた方がいいかも。

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