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2015年7月 7日 (火)

三菱の暁斎とは

三菱一号館美術館は、主にフランス美術を展示するのかと思っていた。高橋館長はフランス美術の専門だし、その企画もマネ展やシャルダン展などちょっと渋いフランス美術展が多かった。ところが最近、河鍋暁斎の展覧会が始まった。

日本美術もやるんだと思ったが、行ってみたらこの美術館と暁斎はおおいに関係があることがわかった。三菱一号館美術館は、東京国立博物館や鹿鳴館などと同じく明治期のお雇い外国人、ジョサイヤ・コンドルの設計になるものが、数年前に復元されている。コンドルは、スター絵師だった年上の暁斎に弟子入りして絵を学んでいたという。

あの入り組んだ美術館の建物には、暁斎的な美学が入り込んでいるかもしれない。展覧会の冒頭にある解説や美術館の図面などを見ながら、そんな気がしてきた。いずれにしても、暁斎の絵を見るにふさわしい雰囲気の場所だろう。

展覧会名は「画鬼 暁斎」で副題が「幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」。初めに暁斎とコンドルの関係を示す絵や図面が並ぶ。明治14(1881)年にコンドルが設計した上野博物館(東京国立博物館)で第二回内国勧業博覧会が開かれて、暁斎は博物館を中心に上野を豪華絢爛に描いた錦絵《上野山内一覧之図》で二等賞を取る。そこから2人の関係が始まる。

コンドルは建築を教えに来たが、日本美術に魅了されて、いくつもの本を書いている。そして暁斎に弟子入りして、自らも描く。これがななかうまい。暁斎の鯉の屏風の一部を模写したものまであった。

展覧会には《暁斎絵日記》が展示されているが、これは暁斎が毎日のできごとを絵に描いたものらしい。コンドルも出てくるが、これは一枚一枚めくりながら見たいと思った。

展覧会の8割は暁斎の作品で、これはもう融通無碍というか、何でもありの画家だ。ニューヨーク近代美術館所蔵の外国人好みの端正な動物の水墨画もあれば、狩野派の伝統を継ぐ美人画もある。あるいは《九相図》のように、人間が死んでから腐るまでを描いたおどろおどろしい絵もある。明治開化の風俗画もある。

「狂っていたのは、俺か、時代か?」のコピーにあるように、江戸末期から明治中期までの急激な時代の変化の中で、とにかく好きなものを好きなように描いてきた画家の生涯が浮かび上がる。とにかくいつまでも見飽きない展覧会だ。9月6日までだが、8月4日からは一部展示替えがあるので、もう1回見たい。

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