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2015年8月11日 (火)

渋谷で対照的な映画2本

最近は試写会場としても使われていたシネマート六本木がなくなって、渋谷のユーロスペースのビルの試写室が2つになったので、渋谷に行くことが増えた。そのビルで対照的な映画の試写を2本、立て続けに見た。10月10日公開の『光のノスタルジア』と9月19日公開の『過ぐる日のやまねこ』。

『光のノスタルジア』は、チリのパトリシオ・グスマン監督がアカタマ砂漠を描いたドキュメンタリー。そこは世界で最も乾燥した場所で、天文観測にふさわしいため、世界中から天文学者が集まるという。

そこでミイラを探す考古学者や若い天文学者が話し始めたら、いつの間にか話は1970年代のピノチェト政権下の虐殺になった。考古学者は、殺害された夫や兄弟の遺骨を探す人々の手伝いをし、天文学者は母から聞いた虐殺のことを考える。

強制収容所で数年を過ごした建築家はその図面を正確に書き起こす。別の元囚人は、収容所で星を見る楽しみを覚えて、現在も手製の望遠鏡で宇宙を見るのが趣味だ。

天文学と考古学に40年前の記憶が重なって、不思議な気持ちになった。「今、ここ」ではない世界を凝視する力に圧倒される。砂漠で遺骨を探す老女たちの妥協を知らない不屈の姿が心に刻まれた。

鶴岡慧子監督の劇場デビュー作『過ぐる日のやまねこ』は、21歳の時子と17歳の陽平が長野の田舎で出会う物語だ。まさに「今、ここ」に住む若者の感覚を微視的に描く。

時子は東京のガールズバーで勤めていたのを止めさせられて、長野行きの夜行バスに乗る。陽平は、高校をさぼって森の中の家で絵を描く。そんなふたりが出会って恋が始まるかと思ったら、むしろそれぞれの抱える過去のトラウマに向かう。

撮影は驚くほど繊細だし、主人公のふたりや脇役たちの演技も極めて自然だ。そして森や川やバスのたたずまいもテーマにぴったり。これまでこの監督の映画は見ていないが、相当に力のある新人だと思う。

それでも天文学と虐殺の映画を見た直後のせいか、本質的にどうでもいい内容に見えてしまう。丁寧な作りものと言ったらいいのか。やはり1日に2本も試写を見るのはよくないと反省した。

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コメント

Mi5に試写のはしご。全く自宅にこもっている感じがしないのですが(笑)

投稿: 石飛徳樹 | 2015年8月11日 (火) 08時03分

「自宅にこもる」つもりが、午後になるとうずうずしてきます。やはり学者には向いていませんね。

投稿: 古賀太 | 2015年8月11日 (火) 08時12分

探究心は重要と思います。
おやじの話ですが、小学校で自分のつばは苦くないけど、人のつばは苦いという話がはやったそう。で、浜で、近所のおじさんが口を開けて寝ていたとき、おやじはその口に溜めたつばを落とした。おじさんが起きたので、つばを入れたが苦いか、ときいたら、殴られて痛かっただけだったそうな。
おやじから聞いたおやじの友達の話ですが、うんちがお尻からどう出るかが知りたかった。で、家に誰もいなく、うんちがしたくなったときに、おふくろさんの鏡台を倒して、その上に跨がった。途中で、止めるつもりだったのに出てしまった。そこに、おふくろさんが帰ってきて、すごくしかられたそうな。嫁入り道具の鏡台、うんちするのはよくないみたい。
探求もなかなか難しい。

投稿: jun | 2015年8月11日 (火) 21時38分

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