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2015年8月28日 (金)

神戸で見る舟越桂展からノスタルジアへ

昨日、ここに学生と美術展に行ったと書いたが、見たのは8月末まで兵庫県立美術館の「舟越桂 私の中のスフィンクス」展。自分だけで行くつもりだったが、学生たちもついてきた。舟越桂なら、知っているようだった。

安藤忠雄の建築による兵庫県立美術館は震災後に作られた建物で、かつては別の場所に兵庫県立近代美術館があった。私は、こちらの村野藤吾建築の兵庫近美には仕事で何度も行った。

まず最初に勤めた国際交流基金では、1990年前後に兵庫近美の学芸員だったOさんと一緒に「欧州巡回具体美術展」を担当した。関西で1950年代から60年代にかけて活躍した具体の美術作家たちは、その頃はみなさんお元気だった。Oさんに連れられて阪神間や奈良を行き来して、彼らを訪ねた。

彼らとローマやフランクフルトに行った話はここに書いたと思うけれど、展示作品の中核となるのは兵庫近美の所蔵だった。だからそこの所蔵庫で何日も作品チェック(の真似事)をしたはずだ。

その後もこの美術館とは縁があった。1994年秋には新聞社の事業部でマグリット展を担当していたが、関西の会場が兵庫近美の予定だった。ところが翌年の1月、作品を搬入しようとした数日前に大地震が起きた。美術館の建物にヒビが入り、開催は中止になった。

結局、そのマグリット展は3週間後に大阪の梅田大丸で開催した。どのようにしてその会場を押さえたのかわからないが、兵庫県美の担当者のHさんは大入りの大丸を見て悔しそうだった。

さらに96年には、補修が終わったその美術館で、私がKさんと企画した「映画伝来」展を開催した。今は、OさんとHさんは別の美術館にいて、Kさんは大学で教えている。

阪急電車に乗りながら、そんなことを考えていた。新しい兵庫近美ももう10年以上たって、周りには大きなビルや高層マンションができていた。安藤忠雄の建築のせいか、目的の展覧会の入口に行くのにやはり迷ってしまう。

舟越桂展は、大きな会場だがあえて作品数を絞っていたので、気持ちのいい展示だった。年代ごとに彼の作品の変化がよくわかる。そのうえ、彫刻のもとになったデッサンも良かった。リアルでシュール、宗教的でモダン、そんな対立概念を共存させる作品は明らかに普遍性につながっている。

彼の作品を見ながら、ご本人の笑顔と、最近見たお父様の舟越保武の彫刻群を思い出した。すべてがノスタルジアへと通じている。安藤忠雄との苦い思い出も蘇ったが、それは後日。

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