「エリウヨ」の登場
今週の『アエラ』は、佐藤優さんが「特別編集長」なので、すぐに買った。以前、鈴木敏夫さんが編集長をした号もおもしろかったから。電車の中でパラパラと読んでいて、席からずり落ちそうになるくらい驚いたのが、香山リカさんの文章。
「拝金と愛国 結託する富裕層 エリウヨという新階層」が見出し。ネトウヨ=ネット右翼はフリーターが中心だったのが、最近はエリートに増えているという話である。
簡単に言うとリードの通り。「「ネトウヨは社会の底辺層」というステレオタイプは崩れつつあり、むしろ富裕層に近いエリート・ネトウヨ=“エリウヨ”という新しいクラスターが現れている。ナショナリズムと新自由主義の複合体だ」
香山さんのツイッターに「韓国や中国への憎悪をむき出しにして侮蔑の言葉を投げつけてくる」のが、タイムラインをのぞくと医者だったり、外資系企業のマネジャー、会社経営者、弁護士などがいたというもの。
なぜ私が驚いたかというと、個人的にそういう「エリウヨ」をよく知っていて、数年前から気になっていたから。彼らは実は高校の同級生。私は九州の私立進学高校出身だが、同級生は今は医者か弁護士か高級官僚でなければ、金融を中心に大企業の管理職や会社経営者などがほとんど。
彼らがフェイスブックに投稿したりシェアしたりする内容に、「ネトウヨ」を感じることが多かった。安倍首相の国連演説に「感動しました」と書いたり、「産経新聞」の中国攻撃記事をシェアしたり。同窓会に行っても、そういう内容の発言を聞いたし、かつて朝日新聞に勤めていた私に、酔って「日本の敵だ」と言った奴もいた。
田舎の進学校はそんなものかと思っていた。私のように文学部に行った者はおらず、卒業後は大学院進学者もマスコミに行った者もほぼいない。もちろんアート系の仕事に就いた者は皆無で、大学の教員もいない。
香山氏の文章を読むと、それが日本中にいるというのだから怖くなった。「彼らがより“新しい”のは、彼らは愛国心の心の持ち主というレベルを超えた先鋭的な人種差別主義者や国粋主義であり、それと同時に「お金儲けってそんなに悪いことですか?」的な徹底的な拝金主義者であるということだ」
そしてナショナリズムと拝金主義は、反知性主義を支持する。「彼らは明らかに無知な“従来型ネトウヨ”の下劣な発言もためらうことなく拡散する」
彼女の文章はこう終わる。「いずれにしても「ナショナリズム」「新自由主義」「反知性主義」の三題噺のオチは悪夢のような悲惨なものになるだろう。それに対抗する言論、イデオロギーの確立に残りの人生を賭けたい、と戦後70年の夏に誓う私である」
私も時には映画や美術を離れて、こういうことを考えなければと思った。
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