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2015年8月14日 (金)

左翼はどこに行ったのか

先日『天皇と軍隊』を見た時、上映後に渡辺謙一監督と鈴木邦男さんの対談があった。鈴木氏はこの映画でインタビューに応えているからだが、彼の話が実におもしろかった。

鈴木邦男と言えば、新右翼団体「一水会」を立ち上げて長年会長を務めた人だ。最近は「一水会特別顧問」を名乗っているが、この座談会でもう顧問を止めたことを明らかにした。

彼の話す内容は、リベラルそのものだった。映画に出ていたベアト・シロタ・ゴードンさんにアメリカで会ったことがあり、彼女が「日本の新憲法には夢と理想を詰め込んだ」と言ったことに感銘したという。一方で安倍首相には「夢も理想もない」と切り捨てた。

渡辺監督が右翼の話で赤尾敏に触れると、「あの人は単にソ連や共産主義が嫌いだった」「戦前は武者小路実篤の「新しき村」運動に参加した熱血漢で、戦後は英米の自由主義を評価していた」「親米愛国という路線や黒い街宣車のスタイルは赤尾さんが作った」

「日本人のほとんどは、ひとりひとりは愛国者じゃないですか」「ただ、韓国や中国を徹底的に否定してヘイトスピーチをする連中は、愛国者と言えない。日本でそんなことをしていると聞いたら韓国人や中国人は怒るのが当たり前」「冷静でないと愛国者とは言えない」

「三島さんは愛国じゃなくて、憂国だったのだと思います」。この意味は説明がなかったが、それから話は左翼や右翼の起源がフランス革命後の議会の位置にあるという話になった。そして鈴木氏はフランスの極右政党の国民戦線に招待された時、彼らがまじめな国会議員の団体だったことに驚いたという。

鈴木氏の話は実に明快で自分とも考えが近いと思った。考えてみたら、最近共感している佐藤優氏も元は外務官僚でインテリジェンスなどを語る政府寄りの人だった。彼らの存在感に比べたら、左翼やリベラル知識人は存在が薄い。政府が急激に右寄りになったので、もともとの右翼が少し左になったのか。そういえば、極右の漫画家と思っていた小林よしのりが、沖縄の辺野古基地に反対しているという。

彼らと比較すると、たぶん左翼の姜尚中や内田樹はおもしろみに欠ける。1989年にベルリンの壁が崩れ、社会党は雲散霧消して、右翼か左翼かわからない民主党が政権を取ったが自壊した。そんななかで、もはや左翼という言葉は全く意味をなさないのかもしれない。

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