« 『3泊4日、5時の鐘』の安定感 | トップページ | 『さようなら』のリアリティ »

2015年9月28日 (月)

永青文庫で見る「春画展」

話題の春画展を永青文庫に見に行った。混んでいるかと思ったが、さほどではない。通常の美術展が混む日曜の午後3時という時間帯だったが、20分待ちとのこと。実際は10分程度だった。

中に入って驚いたのは、若い人が多いこと。2/3くらいは20代から30代ではないか。カップルも男子数名もいるが、目だったのは女の子の集まり。「ビリギャル」みたいなド派手な女の子までいる。年配で一番多いのは、私より上のオジサン1人。展覧会にお定まりのおばさんグループは少ない。年配の夫婦はそこそこいた。それから外国人も数名。

もともと「永青文庫」は狭い。通常は膨大な細川家コレクションから、テーマを決めて年に3、4回所蔵品展をしているところだ。私の家から近いのでたまに行くが、まず客はいない。今回のように外国も含めて他の美術館から作品を借りて企画展をやるのは、初めてではないか。

展覧会は3つの階に分かれているが、4階と3階が150平米、2階が100平米程度の展示面積か。とにかく大きめのマンションに100名ほど押し込まれた感じで狭い。

展覧会そのものはどうだったかと言えば、春画だけが並ぶ展覧会は日本で初めてだから、男女の濡れ場を性器をクローズアップして描いた絵ばかりを見る体験はおもしろかった。描かれた男性が全くマッチョでなく、妙に女性的なのが良かった。

ときおり女同士が抱き合っているかと思うが大きな男性器が描かれているので男性だとわかる。それくらい男はなよっとしている。胸まで少し膨らんでいる。磯田湖龍斎の《色道取組十二番》は女風呂の裸の女たちと三助を描いているが、男性器がなければ三助が仕事なのに興奮してる絵には見えない。そういえば、女性の胸は総じて小さい。

その分、男性器が大きく描かれているのは、やはり画家は男性ばかりで男性中心的な見方かもしれない。そうは言っても、多くの作品で男も女も同じようにおおらかにセックスを楽しむ感じが溢れている。

第1部が肉筆(1点もの)で第2部が版画、第3部が豆本。いずれも12組など連作が多いが、展示では1点のみが多くて残念。第1部に比べて第2部の方が、貸本屋を通じて一般に流通したせいかずっと庶民的になる。絵のあいたところに言葉が書かれているが、それが小さくて読めない。ほんの一部は拡大して見せているが、全部読みたかった。

もっとまともな広い美術館できちんとした展示で見たかったというのが本当の気持ちだが、2013年に大英博物館で「春画展」が開かれてから、日本での帰国展をしようとして20以上の美術館が断ったという。そこで永青文庫理事長の細川元首相が決断して引き受けたらしい。

1990年代から出版物としては春画はいくらでも問題がなくなったのに、なぜ美術館は引き受けなかったのか。日本の美術館の根本的な保守性を示す出来事かもしれない。それでもできてよかった。そういえば、入口に18未満入場禁止と赤で大きく書かれている。

600ページを超す4000円のカタログを買ったら、最初のページに「18歳未満の方の目に触れませんよう、本書のお取扱いには十分ご配慮を願います」という紙がはさまっていた。この分厚いカタログは紙もデザインも良く、組作品も全部載っているので、見ていて飽きない。しばらくは座右の書になりそう。

展覧会は前期が11月1日まで、後期が12月23日まで。大半は入れ替わるようだ。

|

« 『3泊4日、5時の鐘』の安定感 | トップページ | 『さようなら』のリアリティ »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/62364717

この記事へのトラックバック一覧です: 永青文庫で見る「春画展」:

« 『3泊4日、5時の鐘』の安定感 | トップページ | 『さようなら』のリアリティ »