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2015年9月20日 (日)

初めてMRI検査を受ける

54歳にして、初めての脳ドックでMRI検査を受けた。横になって、頭が棺おけのような中に入ってゆくやつで、映画やテレビではよく見るが、自分がやったことはなかった。

なぜ受けたかというと、姉が会うたびに勧めたから。知り合いがそれで病気がわかり、早期治療ができたという。先日人間ドックを受けた際に、オプションで選んで受けてみた。

正直なところ、恐かった。真っ暗な中で頭に電波が当てられたら、叫び声を挙げそうな気がしていた。そのうえ、「大きな音がするので」とヘッドホンをさせられた。さらに、苦しかったら押せと、ボタンを手に握らされた。

さて、頭が中に入ってゆく。真っ暗になった。そして「キーン」と音が鳴り始めた。ところが1分ほどで止まる。「あれっ」という技師さんの声がする。いったんやり直しになって、頭が出てくる。そしてしばらくしてまた頭が暗黒へ。ところがまた「あれっ」

結局4回繰り返して、「機械の調子が悪くなりましたので、しばらくお待ちください」と言われた。思わず私は「私の脳は特別な電波を発しています」とか「ベネチアで映画を1日4本見たので、頭がおかしいのです」とか「酒の飲み過ぎなのでは」とか冗談を言おうかと思ったが、技師さんたちは真剣だったのでやめた。

パジャマ姿のままに待っていると、別の技師もやってきて「再起動」とか話していた。20分ほど待って再開。今度はうまくいった。いろんな音がしてうるさかったが、別に痛くも痒くもならずにあっけなく終わった。全体で20分ほどか。着替えようとすると、「更衣室を別の方が使われているので、外でお待ちください」

パジャマのまま、待つこと20分。ちょっと寒くなった。いくらなんでも長すぎると思ってそっと戸を開けて「あのー、更衣室はまだあかないのでしょうか」と聞くと、「あっ、すいません、忘れてました」と言う。思わず「おいっ、ふざけるな、検査で待たせて、着替えで待たせて、どういうことかい」と声を上げてしまった。

病院で大声を出す人はまずいないので、みんなにじろりと見られて、恥ずかしかった。考えてみたら、病院はどんなに待たされても、絶対服従である。「30分ですむと言われたのに1時間半もかかったので、3時半の試写に行けなくなったではないか」などとと文句を言う人はいない。

それも特別な技術を持つ医師に診断や治療をお願いしているのではなく、単に金を払って検査を受けているだけでも、文句を言わないのが病院だ。これはおかしい、とぶつぶつ言いながら病院から駅に歩いていた。そして駅に着いた時、ふと思った。「大学も同じだ。学生はお金を払っているのに、先生には絶対服従だ」

これはいけない。これから学生に接する時は、脳ドックでパジャマを着て何度も待たされた自分を思い出そうと思う。

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