買物の楽しみ:その(1)
買物が大好きだ。何も買わなくても、デパートを巡るだけで楽しい。昔は高級な店に行くのが好きだったが、最近はスーパーで野菜や果物や魚を見るのが何よりの楽しみになった。スーパーで見つけたら必ず買うのが、有頭海老。
普通、海老は頭の部分を切り取って売られている。インドネシアやタイからの輸入品がそうだ。たぶん頭があると腐りやすいからだろう。しかしそうすると、海老のミソというか、本当においしい部分がないことになる。
ところが時々、アルゼンチンやカナダ産の有頭海老がある。たぶん高級スーパーにはいつでもあるのかもしれないが、私がよく行く「マルショウ」には全く不定期に忽然と現れるので、すぐさま買ってしまう。
何を作るかと言うと、海老のビスク。まず海老の身をはがし、頭や殻を集めて、強火でバターで炒める。そこにブランデーを入れて焦がす。そして千切りにしたタマネギ、ニンジン、セロリ、ニンニクを入れて炒める。そこに白ワイン、トマト、水、スープの素と順番に入れる。
15分ほど煮て、ハンドミキサーでつぶす。そして濾す。すると真っ赤なスープのできあがり。そこに海老の実を入れて火を通せば食べられる。きのこ類をいれたら、風味と触感が増す。あるいはパスタやリゾットのソースになる。
ちょっと手間がかかるけど、抜群においしい。多めに作って冷凍もできる。だから有頭海老を見ると、すぐに買いたくなる。季節に関係なく、突然「マルショウ」に現れるから楽しいのかも。そして安い。
あとはやはり季節の野菜や果物を買うのが楽しい。春から夏にかけてしかないのが、そら豆。これは茹でてちょっと高級な塩を振るだけでうまいし、オリーヴ油やバルサミコともあう。もちろんあらゆるパスタやスープにも最適。炊き込みご飯もいい。
今の季節なら枝豆だけど、これはそら豆ほどのありがたみはない。冷凍が普及して、居酒屋で年中ある一皿になったからか。だけど、少し高めの旬の枝豆を買ってきて茹でて塩をつけると、やはりおいしい。
2、3週間前に、「マルショウ」でどこかで見た顔の初老の男性がいた。安売りのキノコをじっと見ていた。しばらくして、彼が汚職で某省をクビになった元事務次官だったことを思い出した。ずいぶん質素な身なりをして、キノコ各種3つで300円を嬉しそうに買っていた。その姿がまだ忘れられない。
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