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2015年10月14日 (水)

山形は大丈夫か:その(4)

「二重の影」部門で上映されたほかの4本についても触れておきたい。これらはすべて過去の名作をめぐるドキュメンタリーだが、一番の目玉はマノエル・デ・オリヴェイラ監督の『ニース ジャン・ヴィゴについて』(1983)。とにかくあの巨匠オリヴェイラが、夭逝の天才監督ヴィゴについて語るのだから。

これはフランス国立視聴覚研究所によるテレビ版組シリーズで、ジャン・ヴィゴの『ニースについて』を引用しながら、現在のニースを描く。そこはギャンブルの街として知られるが、休日の街の公園では楽団の音楽が響き、裕福な人々が優雅な時間を過ごす。

しかしそこには貧しい人々も住んでいて、ポルトガル出身の学者や芸術家たちもひっそりと住んでいる。実はオリヴェイラの息子のマヌエル・カジミロも彫刻家としてそこに住んでいた。あるいはポルトガルでは著名な作家・アドアルド・ロレンソはニース大学でポルトガル文学を教えている。外国人を受け入れる開かれた場所としてのニースだが、どこかに死の影がある。オリヴェイラはそんなニースを大掴みに描く。

一番驚いたのはヴィゴの娘が出てきた時で、『ニースについて』の若い女性たちが踊るシーンの後ろに写る男を「あれが父だと知っている人は少ないでしょう」と言った。彼女が3歳の時にヴィゴは亡くなったという。

『ジャン・リュック=ゴダール、さらけ出された無秩序』は、セリーヌ・ガイユール、オリヴィエ・ボレールの共同監督作品。これは2006年にポンピドゥー・センターで開かれたゴダールの展覧会を巡るドキュメンタリー。これは当初「フランスのコラージュ、映画の考古学」と名付けられた展覧会が「ユートピアへの旅」と変更し、ガラクタの山のような展覧会になってしまったことの理由を説明する。

アンドレ・S・ラバルトがガイドのように出てくるが、「ゴダールは観客を失望させることをいつも目標にしている」という言葉に妙に納得した。私もこの展覧会は見ているが、ゴダールのあらゆる創造物で唯一の失敗作だと思った。

ミルコ・ストパー監督の『ナイトレート・フレームス』は、『裁かるるジャンヌ』(27)主演のファルコネッティを追う。彼女の娘が出てきて、その人生を語る。彼女は1920年代にヘンリー・ゴールドストックという年上の金持ちと結婚し、自分の劇場も持っていた。1942年にサンパウロを経てブエノス・アイレスに渡り、そこで演劇人用の養老院Casa del Teatroに住んで、子供たちに演劇を教えていたという。

46年に54歳で亡くなり、遺体はパリのモンマルトルに葬られる。そこを訪ねるドライヤー監督。そして80年代にノルウェーの精神病院で、『裁かるるジャンヌ』のオリジナルプリントが発見される。数奇な運命とはこのことだろう。

アウグスト・コンテントとアドリアーノ・アプラの共同監督の『赤い灰』は、ロッセリーニの『ストロンボリ』(50)の跡を追って、ストロンボリ島を訪ねる。何と当時エキストラで出演した少年や撮影を手伝った少年が老人になって生きていたのには驚いた。自然の美しさと過酷さが、今でも『ストロンボリ』を彷彿とさせた。

こんな渋い内容なのに、どの回も100人以上入っている。東京でもこの動員は難しいだろう。映画好きの集まる山形だけの不思議な現象と言うべきだろう。山形のおもしろさは、明らかにコンペ以外のセクションにある。

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