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2015年10月18日 (日)

アプラ氏の選ぶイタリア映画10本

イタリアの映画評論家、アドリアーナ・アプラ氏の講演を聞いて、久しぶりに「映画原理主義」という言葉を思い出した。これはイスラム原理主義を思い浮かべればわかりやすいが、映画をほかのすべてより重要とみなし、原理主義者たちはそれぞれの「神」を持つ。

アプラ氏の場合は、ロベルト・ロッセリーニを起点に、映画史が回っている。それもこの監督の『無防備都市』ではなく、『ストロンボリ』を代表とするイングリッド・バーグマン主演の映画というのがミソ。

イタリア文化会館で開かれた講演会では、彼がイタリア映画史から選んだベストの10本について話した。実際にはその場で3本足して13本。そのリストは以下の通り。

「妻たちとオレンジ」(ルーチょ・ダンブラ、1917)
「百貨店」(マリオ・カメリーニ、1939)
「郵便配達は2度ベルを鳴らす」(ルキノ・ヴィスコンティ、1943)
「ストロンボリ」(ロベルト・ロッセリーニ、1953)
「太陽はひとりぼっち」(ミケランジェロ・アントニオーニ、1963」
「婚約者たち」(エルマンノ・オルミ、1963)
「大きな鳥と小さな鳥」(ピエル・パオロ・パゾリーニ、1966)
「ドン・ジョバンニ」(カルメロ・ベーネ、1970)
「暗殺の森」(ベルナルド・ベルトルッチ、1970)
「先生の日記」(ヴィットリオ・デ・セータ、1972)
「悪徳の日記」(マルコ・フェッレーリ、1993)
「時代の声」(フランコ・ピアヴォリ、1996)
「愛の勝利を」(マルコ・ベロッキオ、2009)

いやはやすさまじいリストである。日本では一番イタリア映画を見ていると自負する私さえ、見ていない映画が5本もある。フランコ・ピアヴォリに至っては名前を初めて聞いた。ちなみにもともとは30本のリストがあり、90年代以降だと以下の映画が加わる。

「リッビアーノのゴスタンツァ」(パオロ・ベンベヌーティ、2000)、「彼らの出会い」(ストローブ&ユイレ、2006)、「四つのいのち」(ミケランジェロ・フラマンティーノ、2010)

私は2001年から07年までイタリア映画祭の作品を選ぶために毎年30本ほど見ていたのでこの3本は見ているが、「リッビアーノのゴスタンツァ」と「彼らの出会い」は、イタリア映画祭の観客を考えてあえて外したのを覚えている。

質問で「ナンニ・モレッティをどう思うか」と私が聞くと、「今風だが実は古臭い」「大問題を小さな精神で扱う」などケチョンケチョン。ほかにもおもしろい話があったが、今日はここまで。「映画原理主義」、恐るべしである。

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コメント

アドリアーノ・アプラ氏、凄かったです。

古賀さんのご質問で、彼がモレッティを全く評価しないのはわかっていましたが、敢えて尋ねた「Habemus Papam 」への寸鉄には爆笑でした。
昔、淀川長治氏が「タイタニック」を「くっだらない映画っ!」と言われたのがよぎりました。
数あるマルコ・ベロッキオ作品で、「Vincere」を選んだ理由も知りたかったですが、恐ろしくて訊けず。
イタリアの蓮實重彦か?

投稿: stella | 2015年10月18日 (日) 09時48分

ほうとうに凄まじいリストですね。笑
ヴィスコンティ処女作が入っていますが、出来る事ならば、『若者のすべて』か『熊座の淡き星影』を加えていただきたかったです。「映画原理主義」。蓮實さんならば、ロッセリーニの『神の道化師、フランチェスコ』とヴィスコンティの『イノセント』を入れるのでしょうか。

投稿: 加賀谷健 | 2015年10月19日 (月) 18時28分

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