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2015年11月10日 (火)

『劇場版 MOZU』のわかりにくさ

早々と『劇場版 MOZU』を見た。プロデュースしたWOWOWのIさんに今度講義に来てもらうので、その前にと思った次第。ところが私は、TBSやWOWOWのテレビ版を全く見ていなかった。

『相棒』は映画だけでもそれなりに楽しめたが、こちらはなかなかわかりにくかった。冒頭、高層ビルに突然侵入して銃を乱射する事件が起こったかと思うと、すぐそばの道路でペナン大使館員の車が襲撃される。犯人役の松坂桃李のはしゃぎ振りが、この映画は遊びなのだと感じさせる。

それを追う警官が西島秀俊で、とにかくカッコいい。彼を助ける私立探偵役は香川照之で、この2人がどんなに銃を撃たれても生きのびるところも、現実離れしていい。西嶋の同僚が真木よう子で、今回は胸のふくらみを完全に押さえてキリリ。

事件はペナンという架空の国(撮影はフィリピン)に移り、ダルマと呼ばれるビートたけしが操る闇の組織との戦いになる。たけしの番頭が伊勢谷友介。エレナという大使館員の娘はどうもダルマの血を受けついでいるようだ。香川は彼女と自分の娘を守ることが目標になる。

一体、長谷川博己の役は味方なのか敵なのか、あるいは西島と伊勢谷の戦いに忽然と現れる池松壮亮は何者なのか、私には皆目わからない。それでも、拉致された西島の乗るトレーラーと能面姿の長谷川が率いる軍用車の激突はすさまじいし、その後には巨大な造船所に火をつけるなど、やりたい放題。

そしてたけしが現れる。妖怪のような彼の顔と声が出てきて、何となく落ち着いた。最後は都心の高層ビルの屋上で、ガソリンを撒いて周囲に火を燃やしながらの西島とたけしの戦い。

監督は『海猿』シリーズの羽住英一郎で、日本映画でこれほどの迫力あるアクションが作れることに驚いたが、それが何とももったいないほどドラマは(私には)弱かった。わからないながらも考えたのは、この映画の根底にある陰謀説のことだ。つまり日本の戦後は誰かに操られてきたというもので、もちろんそれは実際は「アメリカの影」である。

それをぼかしながらたけしに演じさせるところが、テレビ局の作る映画なのかもしれない。公開直後のせいか、場内は30代、40代の熱心な1人客も目だった。たぶんWOWOWに加入しているような、ある程度収入の安定した層が多いのかも。

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