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2015年11月 2日 (月)

六本木で展覧会2つ

東京国際映画祭の映画の合間に展覧会を2つ見た。森アーツセンターギャラリーで1月3日まで開催の「黄金のファラオと大ピラミッド展」とミッドタウンのサントリー美術館で11月29日まで開催の「久隅守景展」。全く傾向の違う展覧会だが、それぞれおもしろかった。

「黄金のファラオと大ピラミッド展」は、国立カイロ博物館の所蔵品によるもので、大きな展示品も多くて見応えがあった。なんせ紀元前2000年とか3000年のものばかりだが、精巧に作られた装飾品を見ていると、文明は進化したのかわからなくなってくる。墓には副葬品として生活の模型が埋められていたようで、パンやビールを作っていたこともわかる。

ピラミッドは奴隷たちが建設したと何となく思っていたが、彼らは給料をもらい、きちんと食事をしていたという記録があって、ちょっと驚いた。あちこちに解説がびっしりと書かれていて、とても全部は読む気にならなかったが、最後の10分ほどの4Kシアターはわかりやすかった。あの世へ行く「太陽の船」とか、なかなか詩的でいい。

ギンギラのピラミッド展に比べると「久隅守景展」はずいぶん地味だ。「親しきものへのまなざし」が副題だが、江戸時代初期の農村や自然を描いた屏風絵が並ぶ。ポスターに使われているのが、国宝の《納涼図屏風》(東京国立博物館蔵、11月3日まで展示)で、中年の夫婦と子供が庭に涼む様子を描く。

家の庭の屋根に夕顔の蔓が巻いていて、その下にゴザを敷いて涼んでいる感じ。浴衣姿の男は禿げて不機嫌そうに顔に手を当て、胸をはだけて腰巻だけの妻は無表情に遠くを眺める。子供も黙って同じ方を見ている。こんな幸せがあろうか、という諦念を含む人生観のようなものが伝わってくる。墨を基調として浴衣の青や唇の赤などがほんのり乗っているつつましさもいい。

この画家の名前さえ知らなかったが、全体に優しい雰囲気の絵ばかりで、気分が落ち着いた。展覧会を出て、江戸時代のこのつつましさはどこに行ったのだと思いながら再び六本木ヒルズへ向けて歩いていたら、ハロウィン仮装集団に出くわす。最近、年を追うごとに騒ぎが大きくなっているようだが、もうこの年になると宇宙人を見ている気分になって文句を言う気にもならない。

とにかく東京国際映画祭が終わって、六本木に行く必要がなくなってホッと一安心。これからしばらくは、気分は「納涼図屏風」で行きたい。

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