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2015年11月24日 (火)

昨今の大学事情

昨日は休日だったにもかかわらず、私の大学では授業があった。聞いてみると、ほかでも授業をした大学は多いという。21世紀になったあたりから、年間30回の授業をするようにという文科省の指導があるらしい。今から考えてみたら、私が大学に通っていた1980年代は年に20回くらいしか授業がなかったのではないか。

そのうえ、その頃は20分や30分遅れてくる先生も多かった。あるいは早めに終わる先生もいた。私は6年半前に大学に勤め始めたので、いつ頃から大学がこんなにまじめになったのかはわからない。

2004年に国立大学が独立行政法人となったことが大きいらしい。これは世界的な競争で日本の大学も優位に立つために、各大学の自由裁量を大きくし、その分競争させるということのようだ。大きく言えば、国鉄などに始まった民営化の流れだろうが。

確かに、文科省の大学への補助金の種類が増えたのは事実。最近話題になったのは去年の「スーパーグローバル大学」(何と恥ずかしい呼称!)で、37校が選ばれた。最高で1校で年間4億円を超す金額を、10年間出すという大盤振る舞い。

ただ実態はかなり怪しい。私の知り合いは、日本に何度も来ている外国の映画史家や映画評論家を招待して集中講義をしてもらったり、自分が欧米の映画学校を訪問したりに使ったが、とても使い切れないと悲鳴をあげていた。

国立も私立も、大学の事務局は必死でそうした助成金に応募する。通ったら通ったで、教員はその使い道に苦労する。もちろんちゃんと役立っているケースもあると思うが。これは昔からある科学研究費も似ている部分がある。これは教員が個人で応募するものだが、今では国立大学は応募するのが当然で、大学によっては応募しない教員はボーナスが減ると聞いた。

大学を競わせる分、年に30回授業をやらない大学は、補助金を減らされる。各大学の自由裁量を重んじるならば、授業の回数くらいは大学に任せてもいいと思うけど。

そういえば、東京や関西、名古屋などの私大では、3年後には定員よりも入学する学生数が1割超すと補助金がカットされるようになる。地方は3割までOK。学生の都市集中を避けるためというが、その解決法はどこかおかしくないか。

文筆家として著名な大学教授が定年前に退職するケースが最近増えているが、聞いてみると、みな「この10年来雑用が増えて耐えられない」と言う。私などは6年半前にやってきて、「大学は天国だ」と思っているくらいなので、昔はよほどラクだったに違いない。

それでも休日には授業をするのはどうかと思う。国が決めた休日なのに。それでこの10年、昔よりも優秀な学生が社会に出ているという話は聞いたことがない。そして今回の国立文系学部を改組しろという通達。大学のことはまだよく知らないので間違いもあるかもしれないが、この15年の文科省の大学改革はおかしな方向に行っているように見える。

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コメント

超有名大学に予算を超重点配分しておいて、どうして地方大学に学生が集まるのでしょうね。もうひとつ分からないことがあります。近年、日本人科学者のノーベル賞ラッシュですが、彼らの多くは詰め込み受験教育で育った世代です。知識偏重で、欧米に比べて斬新な発想が生まれない教育だとされ、ケチョンケチョンに言われていましたが、これはどう考えたら良いのでしょうか。教育制度は改革すればするほど悪くなっていくような気がします。選挙制度もですが。下手な考え、休むに似たり、と言いますが、休んでいた方がましな気がします。

投稿: 石飛徳樹 | 2015年11月24日 (火) 09時10分

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