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2015年11月 4日 (水)

『マイ・インターン』のさじ加減

私には姉が何人もいることはここに書いたが、そのうちの1人は急に映画を見るようになった。するとLINEを使っておもしろかったと知らせてくる。もちろんメジャーな映画しか見ないが、意外に意見が合う。そんなわけで『マイ・インターン』を見に行った。

驚いたのは客の入り。1ヶ月もたったのに、ほぼ満員。行く前に予約していったが、多くのシネコンで2時間前に満員に近かった。客層は20代から60代まででカップル率が高い。なんとなく人の良さそうな普通の人々だった。

物語は、ロバート・デ・ニーロ演じる70歳のベンが、30歳を過ぎて服の通販を起業して1年半のジュールズ(アン・ハサウェイ)のもとにインターンにやってくるというもの。仕事と人生の経験豊かなベンは次第に若い社員から尊敬を集め、ジュールズの危機を救う。

絵に書いたようなハリウッド映画で、オヤジと若い娘の出会いということもあって最初は『起終点駅 ターミナル』のような薄いお味噌汁のようなものかと思った。ところが細部の会話が巧みで自然に引き込まれてゆく。私はハワード・ホークスの『ヒズ・ガール・フライデー』(1940)の新聞社の社長(ケイリー・グラント)と若い女性記者の掛け合いを思い出した。

そのくらい、切羽詰まったジュールズと余裕たっぷりのベンの会話は聞いていて愉快になった。ジュールズの若い部下たちが悪ガキ揃いで、次第にベンの味方になってゆくあたりも、『ヒズ・ガール・フライデー』と同じく「いろんな仲間が結集してゆく」展開だ。

女性は仕事と家庭の間で苦しみながらもがくアン・ハサウェーに共感を覚えるだろうし、男はカッコいいデ・ニーロを見ながら「ああなれたらいいな」と考える。そのうえ、どちらも家庭を壊すことはなく、家族第一のアメリカ的理想はきっちり守っているから、老若男女誰にでもウケる。近頃には珍しくロングランしているのがわかる。


2人が出張でサンフランシスコに行って、ホテルの部屋で偶然に写るのが『雨に歌えば』でジーン・ケリー(1952)が歌うシーン。デ・ニーロがふと涙を流すあたりうまい。監督のナンシー・マイヤーズの趣味がわかる。

それにしても圧巻なのは、毎日違うスーツを着こなすデ・ニーロのファッション。いつもボタンダウンでネクタイも少し細め、肩は大きめというオールドスタイルが何とも心地よい。いつの間にかネクタイ族を脱した私には、もう関係のないお洒落だけど。

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受信: 2015年11月 6日 (金) 23時24分

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