地方移住?
『ウェッジ』という雑誌がある。新幹線のグリーン車で無料で配るものだが、書店でも売っている。電車の中吊り広告で見ると、ちょっと保守的な感じなので読んだことがなかった。先日早朝に京都から帰ってくる時にグリーン車に載ったので、読んでみた。
特集は「地方移住」。「「住めば都」のウソホント」とも書かれている。たぶん安倍政権の「地方創生」にヨイショする形での特集だろう。たしか数か月前に首都圏の高齢者の地方移住を促す提言が出たので、それと呼応している。
その時は「老人の姥捨て山」と批判する意見の方が多かったと思う。そういえば、昔、「シルバー・コロンビア計画」というのがあった。1980年代後半に円高もあって、海外をスペインなどで過ごせば楽で楽しいという通産省からの提案だったが、これも「老人の輸出」と猛烈に批判されたと記憶している。その後バブルが崩壊して、その計画はどこかに行ってしまったが。
さて、『ウェッジ』に戻ると、そこには5つの移住ケースが具体的に述べられている。千葉の大原に移った古賀さんは、妻を亡くして子どもが独立したために決めたという。戸建ての大きな庭のパイプ椅子で笑っている姿が写っているが、馴染みの居酒屋に「ちょいワルオヤジのBBQ」というチラシを置いて、知らない人とバーベキューをしたという。
私はこの話を聞いて、背筋が寒くなった。千葉の田舎で知らない人をバーベキューに招くなんて、何ともイタイではないか。私は友人はいくらでもいるので、今さら知らない人と友達になりたいとは思わない。10年後に退職しても、「元大学で映画を教えていました」なんて言ったら、寄ってくる人にロクでもない質問をされるだけだろう。
『ウェッジ』では成功例が3つ、失敗例が2つ挙げてある。北海道のログハウスに移住した籠島さんは、雪がすごくて5年で戻ってきたらしい。そもそも北海道と沖縄は「イメージ先行の地で移住失敗者も多い」とも書かれていた。そりゃ、そうだろうな。
私が地方に行きたくないのは、今では地方の方がメジャー文化に占領されているからだ。新幹線の駅を降りると、山形も岡山もほぼ同じ風景が広がっている。各地の固有の文化は廃れ、外のマイナーな文化は受け入れない、あるいはその人口が十分にいない感じがする。
私は福岡に生まれてから24年も住んだが、あえて帰りたいと思わない。東京に住んで時々あちこちに旅行するのがいいかなと、今のところは思っている。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 飛行機のトラブル(2026.09.07)
- 美術と映画をめぐって(2026.08.26)
- 本を売る(2026.08.20)
- 人生の僥倖(2026.08.09)
- いつの間にかイタリア映画の専門家に(2026.08.07)


コメント