『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に昭和を感じる
もともとSF映画は苦手だし、『未知との遭遇』(1977年)は公開時に見たが、同じ年に作られて共に翌年に日本で公開された『スターウォーズ』は当時見ていない。こちらには最初から熱狂的なファンがいたが、それが嫌だったのかその後も見に行かなかった。
1980年に大学に入って、だんだん映画マニアになった私が好きだったのはタルコフスキーやアンゲロプロスや鈴木清順だったので、アメリカのSF映画は遥かかなたにあった。実を言うと『スターウォーズ』を見たのは、大学で教え始める直前。春休みにDVDをしこたま買って、有名な映画をだいたい見た。
それではなぜ今回の『スターウォーズ』を見たかというと、理由は単純で「話題になっている」から。18日の公開が随分前から大騒ぎになり、最近だと同じ初日の『妖怪ウォッチ』に動員で負けたことが話題になった。
シネコンではいくつものスクリーンを使って上映している。2Dの上映を選んだが、それでも満員に近かった。私の横に同世代のオジサンが1人いたが、たぶんリアルタイムで見てきたのではないか。まわりからは私もそう思われているなと考えているうちに映画は始まった。
最初は話が複雑でついていけず、ちょっと眠くなった。しかし孤独な少女レイが帝国軍の脱走兵フィンと出会うあたりからようやく乗ってくる。彼らがオンボロ宇宙船に乗り込むあたりで、妙な懐かしさが出てきて、白髪のハリソン・フォードが猿男(チューバッカと言うらしい)と現れてスターウォーズのテーマソングが流れると、レトロ感が炸裂した。
考えてみたら、ドロイドのBB-8も帝国軍の兵士のプラスチックめいた白のコスチュームもすべて古めかしい。あるいはエイリアンたちもクリーチャーたちも、まるで水木しげるの世界。そして何と言っても赤や青のライトセーバーを持っての戦いが、何となく昭和な感じがした。
気になったのは、八ックス将軍が立ち並ぶ部下たちに指示を与えるシーンが、旗や服装も含めて明らかにナチスドイツを思わせたことか。あるいはこの宇宙レベルで敵を倒すという妄想的使命感は、まずは米ソ冷戦から生まれたものだろうし、今ではイスラムとの戦いに引き継がれてるだろうとも思った。
その意味で「宇宙系」と呼ぶような妄想のかなりが、この映画を基盤としているのかもしれないなどと愚にもつかないことを考えた。
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コメント
黒人脱走兵のフィンには、ベトナム戦争を思い起こさせます。ベ平連の活動も昭和ですね。
投稿: 石飛徳樹 | 2015年12月31日 (木) 10時55分