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2015年12月 1日 (火)

それでも東京フィルメックスへ行く:その(3)

年をとると、時間のたつのが早くなる。もう12月になった。東京フィルメックスは終わったけれど、見た4本の映画について書き残しておきたい。コンペの『白い光の闇』と特別招待作品の『華麗上班族』『約束』『昼も夜も』。

『白い光の闇』はスリランカのヴィムクティ・ジャヤスンダラ監督作品で、彼の映画は数年前に同じフィルメックスのコンペで『2つの世界の中で』(09)を学生たちと一緒に見て、みんなが目が点になって出てきた記憶がある。田舎の中の性と暴力という、土俗的というか神話的なテーマは相変わらずだった。

若者が髪を剃り、首を吊るシーンから始まる。ナレーションで死ぬ瞬間を味わいたかったと出てくる。彼は出家して死神の力を求める。臓器ビジネスを手掛ける怪しげな男がいる。彼に協力する医者は、夜は診察室で娘を犯す。そして医者はガソリンをかぶって死ぬ。それはどうも若い仏教僧のようでもある。

あいかわらずストーリーはわかりにくいが、強烈なイメージの連続に息を飲む。こういったアート映画がアジア各地でどんどん作られていることに改めて驚いた。既にベネチアで見た中国の『ベヒモス』も含めて、コンペで見た4本のアジア映画はどれも息が詰まるような重苦しい作品ばかり。そのうえ、辺境と前衛性をうまくからめた巧みな演出だった。

それに比べると香港のジョニー・トー監督の『華麗上班族』も塩田明彦監督の『約束』と『昼も夜も』も、ベテラン監督の余裕が感じられて、見ていてほっとした。実はこの3本は学生と一緒に見た。いわゆる「学生団体鑑賞」というもので、授業の時間に映画祭会場に集合する。

3年生と見た『華麗上班族』は、香港(おそらく)の株式公開を目前にした新進企業を描くミュージカル。会長がチョウ・ユンファで社長がシルヴィア・チャンというかつての香港映画の大スターが出ている。中年だがチャーミングな彼らの姿が現れただけで、ちょっと動揺した。とりわけ頬の痩せたチョー・ユンファに。

社屋のビルのオフィス、とりわけ階段、入口から地下鉄の中までスケルトンで細い柱があちこちに輝く壮大なセット。ジョニー・トーらしくキッチュだが、それでも話が進むとほろりと来る。

2年生と見た15分の『約束』(11)はジョニー・ウォーカーの公式サイト、69分の『昼も夜も』(14)はネスレの公式サイトのために作られた作品。ドラマ性は弱いが、あちこちに「映画的」表現がきらめく小品だった。

どちらも学生が課題で評論を書くので、あまりくわしくは触れないことにしよう。

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