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2015年12月 4日 (金)

フィルムセンターの韓国映画特集に通う:4回目

12月になると、大学の教師は卒業試験の問題を作ったり、卒業論文のまとめを指導したりとなかなかたて込んでくる。就職が決まらない学生の相談も多い。そんななかで、なぜかフィルムセンターの韓国映画特集に足が向く。

戦時下の日本を朝鮮半島側から撮った映画を見ていると、何だか自分というか、日本のルーツをたどっているような気になってくる。今回見たのは2本の宣伝ニュース映画と1本のスパイ映画。

『銃後の朝鮮』(37)は日本語のナレーションで、日本でもよくあった「銃後の守り」を描いた8分の映画。出征を応援する愛国婦人会の活動が主だが、チマチョゴリを着た韓国女性が金のかんざしを一斉に放出している姿を見ると、複雑な気分になる。慰問袋を作っている婦人たちもいた。いったいどの程度本気だったのか、反発はなかったのか。

『朝鮮、われらの後方基地』(39)は韓国語のナレーション付きで11分。朝鮮連合青年団の活躍や、武漢鎮圧の勝利を祝う提灯行列が写される。同盟国のイタリアからの訪問団も写り、防共のために同名を結ぶことが強調されている。

それにしても、日本が中国の都市を制圧したことを朝鮮の人々に祝わせる感覚はすごい。何度も出てくる「興亜」や「東洋平和」の文字が白々しいが、少なくとも日本人の多くはこの言葉を信じていたに違いない。今に至っても中国や韓国への「謝罪」問題が出ているが、この映画を見たら日本の誤りは明白だろう。

徐光霽(ソ・グァンジェ)監督『軍用列車』(38)はいくつかの場面を除くと、日本統治とは関係なく楽しめる鉄道スパイもの。最初のクレジットで脚色や音楽に日本人の名前があり、登場人物としては駅長にあたる人物が日本人で、実際に日本語で指示を出す。

源鎮と点用は一緒に暮らす仲のよい青年で、源鎮はキーセンとなった点用の妹・玲心と結婚を誓っている。玲心にキーセン客の朴が身請けしようとしており、それを阻むためには源鎮は2000円が必要となる。源鎮はスパイになった旧友に会い、鉄道駅に勤める点用から軍用列車の進行表を盗み出すよう唆される。

結局源鎮はギリギリで告白し、現場には警察が駆けつけてスパイは逮捕される。源鎮は後日、点用が運転する軍用列車に飛び込む。

『鉄路の白バラ』や『獣人』などのフランス映画を思わせる機関士もので、列車の迫力は抜群だし、京城駅に並ぶ機関車群は壮観。あちこちで写真を撮るスパイの男と源鎮が出会うの飲み屋が「兄弟酒店」というのもおかしかった。点用にも美しい恋人がいて、恋愛映画としてもよくできている。

源鎮の遺書に「東洋平和のためにがんばってくれ」といった言葉があったのには白けたが、なかなかの演出力だった。調べてみたらこの監督は、朝鮮プロレタリア芸術同盟に参加後、日本の映画会社で数年を過ごしていた。どんな思いでこの映画を作ったのだろうか。

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