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2015年12月 3日 (木)

日本統治下の朝鮮の小学校

またフィルムセンターの韓国映画特集に行った。見たのは崔寅奎(チョ・インギュ)監督の『授業料』(1940)で、日本統治下の小学校の様子がわかって何とも興味深かった。

まず、クレッジットで脚色や作曲に日本人名がある。「国語版監修」は映画評論家の飯島正。衣装は京城三越。物語は水原華城という古城のある田舎を背景に、授業料を払えない貧乏な小学生を描く。

まずいきなり学校で始まり、田代先生が黒板に日本と朝鮮半島の地図を描いて、日本語で授業をしている。休み時間でも小学生同士は日本語。ところが学校の外に出ると朝鮮語。そうだろうなとは思っていたが、実際に言葉を使い分けている子供たちを見て、びっくりした。朝鮮語の部分は当時の日本語字幕が付く。

禹栄達少年は、両親は出稼ぎで半年も戻らず、祖母は病気。明るくて勉強もできるが、授業料が払えなくて学校を休むようになる。田代先生がやってきてお金を置いてゆくが、それは大家さんに取りあげられてしまう。おもしろいのは、先生がおばあさんに話しかけるが、おばあさんは朝鮮語で話すため、先生は「困ったなあ」と苦笑いするところ。そうか、日本人の先生は朝鮮語を話さなくてもよかったのかと思った。

栄達少年(先生は「エイタツ君」と日本語読みする)は、学校に行かずに少女とメダカを釣ったりして過ごす。そのメダカを彼が家で育てるのがいい。結局困り果てて、6里先の平澤の叔母のところに行く。そこでお金をもらってきて帰ってきて、しばらくすると両親も帰ってきてハッピーエンド。

少年の溌剌とした動きが、まるで清水宏の映画のようで楽しい。嬉しいとでんぐり返りをするし、少年が歩く長い道のりを移動撮影で見せる。牛車に乗せてもらったり、帰りは祖母にバスに乗せてもらったりと、躍動感あふれる映像だ。

父から届いた手紙を祖母と読むあたりでちょっと泣けてきた。同封されていたのは、少年が欲しかったバスケット・シューズ。そしてお祭りの日に父母が帰ってきて、3人で歩く。お祭りの伝統的踊りや音楽のなかで、歩く3人をカメラは移動で見せる。

崔寅奎という監督は、戦後に『自由万歳』(46)を撮っている。これは20年前の韓国映画祭で上映したから覚えている。ちなみに『授業料』は、2014年に中国電影資料院で見つかったもの。当時中国で見られていたのだろうか。ところで日本では公開されたのか。知らないことばかりだ。

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