新聞は大丈夫か:その(1)
20年近くも新聞社に勤めていたので、やはり新聞は気になる。購読している「朝日」は毎日隅から隅まで読むし、気になる事件があると他紙も買う。病院などの待合室では必ず他紙を読む。金曜夕刊の映画評はもはや影響力を失ったとわかっていても、各紙を買う。
そんな私が大丈夫かと思ったのは、今年の元旦に撮影監督のヴィルモス・ジグモンドが85歳で亡くなったのに、「朝日」や「読売」に載らなかったことだ。4日頃に映画サイトのニュースで流れ始めたのだが。ネットで見ると、「毎日」と「産経」は報じたようだ。
ジグモンドと言えばロバート・アルトマン監督の『ギャンブラー』(1971)や『ロング・グッドバイ』(73)に始まって、スピルバーグ監督の『未知との遭遇』(1977)、マイケル・チミノ監督の『ディア・ハンター』(78)や『天国の門』(80)と話題の監督と組んだ驚異的な映像で名を馳せたし、最近でもウッディ・アレンの『恋のロンドン協奏曲』(2010)などを撮っていた。
新聞に載れば、多くの人が「ああ、『ディア・ハンター』の映像は美しかったな」と思い出すだろうに。撮影監督と言えば、年末の27日に亡くなったハスケル・ウェクスラーはたぶんどこの新聞にも載らなかった。こちらも『夜の大捜査線』(67)『カッコーの巣の上で』(75)『天国の日々』(78)などで知られる。ほんの数行でも出たら、ある感慨にふけり、新聞のありがたみを感じる人がいると思うのだが。
そんなことを言っていたら、イタリアのエットーレ・スコラ監督がこの19日に亡くなったが、たぶん「朝日」と「毎日」しか載っていない。『特別な一日』(77)とか『ル・バル』(84)とか『マカロニ』(85)とか何とも懐かしい。
新聞の映画記者の教養が低下しているのか、あるいは新聞社全体が読者を馬鹿にして、一般ウケのいいものしか載せなくなったのか。SMAP騒動は一面で大きく扱うくせに。
そんなことを書いたのは、今朝の「朝日」に2020年の東京オリンピックの「オフィシャルパートナーに本社」という告知が一面に載っていたから。このメジャー志向というか、よらば大樹的な発想はなんだろうか。経営が苦しいと言いながら、たぶん数十億円をオリンピックに払うはずだ。
今、東京でオリンピックをやることに疑問を持つ人は多いはず。そんな声を拾わなければ、たぶん新聞に未来はない。「朝日」をやめて、「毎日」か「東京」にするかな。
付記:読売の友人から連絡があり、ウェクスラーもスコラも短いが載ったとのこと。早とちりはいけないと反省。
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