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2016年1月16日 (土)

電気釜の宣伝をする田中泯

いつの間にか、通販をよく使うようになった。セシール、無印などに始まって、通販生活やユニクロ。最近はユニクロで、フランスのデザイナーのルメールとのコラボ商品を何点も格安で買って喜んでいる。

通販生活(=カタログハウス)は、数年前にイタリア製の「メディカル枕」を買ってから定期的にカタログが送られてきている。この雑誌の特徴の一つは、文化人が写真入りで商品を宣伝していることだ。確か「メディカル枕」は上野千鶴子氏が推薦していたはず。

先日、その最新号を見てのけぞった。田中泯さんが電気釜の宣伝に出ているではないか。ニコニコしながら、蓋をあけて茶碗にご飯をよそう写真付きの見開きページ。

田中泯と言えば、私にとっては「孤高の舞踊家」である。福岡の学生時代に、学園祭を無視して彼の公演を小倉まで1人で見に行った時の衝撃は忘れない。帰りには、彼が主宰していた「身体気象研究所」の分厚い印刷物をじっくり読んだ。一瞬、上京して中野に彼を訪ねようかと思った記憶がある。

その後、彼は山梨で農業の生活をしていたはず。そんな彼がこれほどメジャーになったのも驚きだが、それ以上にこんな宣伝に出る気になったのが信じられない。そのページにはその経緯が書かれていた。

「ダンスの仲間と山梨で自給自足の生活を送っていた4年前までは自分たちでつくった米を一升炊きの羽釜で炊いていたんだけど、そのときの羽釜のご飯がまさに言葉のいらない味だった。
舞台や撮影の仕事が忙しくなって、08年に羽釜から電気炊飯器に切り替えたんだが、羽釜のご飯に慣れていた僕には、炊飯器のご飯は生煮えのような独特の匂いを感じた。…
今年(15年)の4月、友人に勧められて「かまど味」を買った。…羽釜で炊いているときの、香ばしいような甘いような、あの何とも言えない香りがするじゃないか」

書き写していて馬鹿らしくなったが、やはり「出たがり」の人だったのだろう。もともと舞踊家として人前で踊るくらいだから当たり前か。それにしても、文化人を何十人も動員して商品を売るこの会社は、うまい商法を考えたものだ。

自分のブログの過去の文章を検索してみたら、2012年1月22日に「全体に新左翼→サブカル→エコ系の匂いがプンプンしている。文化好きで、サブカル・エコ志向の小金持ちに向けた巧みなビジネスのような気がしてきた」と書いていた。どうも最近の思考は堂々巡りのような気がしてきた。

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