« 新聞は大丈夫か:その(1) | トップページ | ビザを取りにフランス大使館へ »

2016年1月23日 (土)

今年最初の試写:『マネー・ショート』

正月が明けると、大学の教師は一挙に忙しくなる。課題の採点、期末試験問題作成と採点、卒論審査、来期のシラバス作成、入試などが断続的に押し寄せる。そのせいで、時間の決まった試写はほとんど見られない。ようやく見たのが3月4日公開の『マネーー・ショート 華麗なる大逆転』。

私はなぜかウォール街を描いた金融ものの映画が好きだ。『ウォール街』(1987)と『ウォール・ストリート』(2010)から『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)まで何でも見る。『マネー・ショート』は08年のリーマン・ショックの裏側を4人のアウトロー・トレーダーを通じて描いたと聞いてみたくなった。

それに配給は東和ピクチャーズ。年末に突如パラマウント・ジャパンが解散して、東宝東和と共に作った新会社ということも、妙に興味がわいた。もちろん場所は東和の試写室になった。

ちょっと不思議なタッチの映画だった。とにかく冒頭からせわしない。4人のトレーダーはそれぞれ別々に動いていて、同じ場所にいても交わることはほとんどない。それぞれがチームを組んで、摩訶不思議な「空売り」を巡って走り出す。

正直なところ、「空売り」の仕組みはわからない。それにMBS(不動産担保証券)とかCDO(債務保証証券)とかSDS(債務保証スワップ)とか合成CDOとか専門用語が続々と出てくる。ところが4人の1人の仲買人ベネット(ライアン・ゴズリング)が時おり観客を向いて話しかける場面や、料理のシェフが腐った魚をいろいろ混ぜておいしい料理を作るシーンを見ているうちに、だんだんわかった気になる。

ライアン・ゴズリング以外にも、孤独な奇才トレーダーを演じるクリスチャン・ベール、若きトレーダー2人組を応援する仙人のような元銀行家役のブラッド・ピット、物語では一番場面の多い正義感溢れるファンド・マネージャー役のスティーヴ・カレルらの天才たちを見ていると、なんだか滑稽で楽しい。これはコメディだったのかと思い始める。

結局、彼らはリーマン・ショックを勝ち抜く。平凡な銀行員や証券マンは職を失い、貧困層は住宅を失う。空き家だらけの住宅街や、ほとんどの社員が解雇されて去った後のリーマン・ブラザーズ本社など、ドキュメンタリーのようなリアルさもある。ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、スタンダード&プアーズ、メリルリンチなどすべて実名で出てくるし。

映画らしくない妙なものを見た不思議な満足感に満たされたが、プレス資料を読んでみると、監督のアダム・マッケイはコメディアン出身で、テレビのコメディ番組の脚本家としても有名らしい。あるいは最近の『アントマン』の脚本も手掛けていて、いわば、コメディアン系才人のようだ。この人の映画はまた見てみたい。

|

« 新聞は大丈夫か:その(1) | トップページ | ビザを取りにフランス大使館へ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今年最初の試写:『マネー・ショート』:

« 新聞は大丈夫か:その(1) | トップページ | ビザを取りにフランス大使館へ »