『クリード』はスピンオフか
『クリード チャンプを継ぐ男』を劇場で見た。もともとシルベスター・スタローンはあまり好きでない。「ロッキー」も「ランボー」も。昔から痩せている私は、肉体派の男性にコンプレックスを感じるからかもしれないが。だから彼がボクシングの老コーチ役という『クリード』は見るつもりはなかった。
ところが日活に勤めている友人が、ぜひ見ろと言う。監督・脚本が『フルートベール駅で』のライアン・クーグラーと聞いて、ようやく重い腰を上げた。
これが「ロッキー」の後日談としてはなかなかよくできていた。考えてみたら、去年は「マッドマックス」も「スターウォーズ」もシリーズが久しぶりにリニューアルされて出てきた。この映画も年末に公開されたので、去年は1970年代後半に生まれたヒットシリーズの再生の年と言えるかもしれない。
映画としての出来は「マッドマックス」を上、「スターウォーズ」を下とすると、その中間くらい。「マッド・マックス」最新作は、シリーズを全く知らなくても楽しめるほど現代の映画としてよくできていた。「スターウォーズ」は熱烈なファンのノスタルジーに訴えることを最大の目的としていた。
この映画は「ロッキー」ファンを考慮しつつも、きちんと練られた「スピンオフ」と言うべきか。物語は、1998年に少年院をある女性が訪ねる場面から始まる。彼女は暴れまくる少年アドニスの母だった。そして2015年のメキシコでボクシングをする男が、10日後にロスで大きな会社に勤務している様子が写る。
アドニスは会社を辞めて、フィラデルフィアに旅立ち、亡くなった父の宿敵だったロッキーに指導を請う。そして2人は世界チャンピオンを目指す。
最初はちょっと作り過ぎな感じがしていた。無理やり引っ張られる気分だった。ところが酒場を営むスタローンが現れてから俄然よくなった。本当に老いた感じでまるでドキュメンタリー映画で昔の頃を語っている感じだ。
訓練を始めてからは、見ていて気持ち良くなってくる。2度の試合の中継も、長回しやアップを巧みに使い分けて、見せるべきところはきちんと見せる。スタローンのチームや恋人、母親といった人物構成も抜かりない。
終盤には思わず泣いてしまった。コンパクトな作りもの感はあったけれど。過去の名作を再生させるいい見本かもしれない。
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