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2016年2月11日 (木)

新聞は大丈夫か:その(3)「朝日」の行方

新聞の中でも、やはり「朝日」は16年も勤めたので愛着がある。この会社はある年月以上勤務すると、退職しても新聞は死ぬまで無料だし、社員用の手帳も年末には送られてきていた。ところが今年から手帳は社員も含めて廃止になり、4月からはOBからも購読料を取ることになった。経営が相当に厳しいらしい。

もともと私はOBに無料で新聞を配るのは反対だった。今でも朝日の給料は高めだと思うが(大学に比べても)、退職した60代、70代の現役の頃は給料はもっと高く、退職金も年金も多い。そんな人たちは、せめて退職後は苦しむ後輩たちを支援すべきで、新聞代くらい払えと思っていた。

私は年齢的にはまだ現役世代だが、それでもOBとして有料で当たり前だと思う。年に何度も海外出張に行って接待をして会社のお金をだいぶ使ったので、せめてものお詫びという気持ちもあるし。

手帳はなくなったが、まだ送られ続けているのが、季刊の社内報。先日送られてきたその冬号を見て、「朝日は大丈夫か」と真剣に思った。これは図書館にはあるものなので、書いてもかまわないだろう。

表紙に「暮らしに役立つ総合メディア企業へ」と書かれている。いかにも怪しい。中を開けると社長の年頭メッセージがある。そこには中期経営計画が書かれていて、図に「5年間で新領域を拡大」「新聞事業以外の売上高15%→25%以上」「新領域を合わせた事業規模3000億円」とある。

2016年3月期の朝日新聞社単体の売上は2700億円というから、今後の読者や広告収入の減少を考えたら、相当数を「新事業」で稼がないといけなくなる。「多彩なコンテンツの活用」「顧客志向のビジネス展開」「あらたな収益源の確立」などの美辞麗句が並ぶが、素朴に「実際に何をやるの?」と思う。

そのうえ、「経営改革を推進し、多様な視点で経営判断をしてゆくために、幹部・経営層に社外から人材を迎えることを検討します」と書かれている。昔、女性誌『UNO!』を立ち上げるのに、文芸春秋から花田紀凱氏を呼んできたことがあったが、1年ほどで潰れてしまったことを思い出した。

あの頃は雑誌を強化すると言って、車雑誌、育児雑誌も外から経験者を呼んで立ち上げたが、すぐに廃刊になった。その旗を振っていた役員は、別に責任を取ることなく地方のテレ朝系テレビ局の社長になったと記憶する。

もともと不動産以外の新規事業で、きちんと成功したものはないのではないか。新聞以外をやればやるほど損をするのでは。自分が事業部門に長かっただけにそう思う。「事業」とジャーナリズムは合わないし、大半の新聞記者は事業部門を軽蔑している。

むしろ新聞とネットニュース(とその広告)に特化して、社員と給料を少しずつ減らしながら、純粋なジャーナリズムの会社として細く長く生き続けた方がいいのではと思う。日本経済と同じように、ゆっくり下り坂を降りる覚悟で。

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