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2016年2月14日 (日)

アケルマンから兵馬俑へ

東京日仏学院にシャンタル・アケルマンの映画を見に行ったら、満員で入れなかった。仕事が立て込んでいた時に、何とか時間が取れて急に行ったので、ちょっと残念だった。そんな時は「転戦」しないと収まらない。

飯田橋だから、すぐに考えたのは上野。2月21日まで開催の「始皇帝と大兵馬俑」展を見た。兵馬俑というのは、妙にそそる。あの等身大の陶器製の人間たちが、何千も地中に埋められていたなんて、やはりナニカアル。

たぶん見るのは初めてだが、なかなかいい。手綱を引く御者の姿とか弓を射る直前の兵士とか偉そうな隊長とか。全体で10体あまりしかないが、見ていて飽きない。紀元前200年にこれらを8000体作らせた秦の始皇帝とは、いったい何者かと思う。

本物の奥には何十という複製が並んでいる。これは遠くから見ると圧巻だが、近づくとやはり偽物だとわかる。キレイすぎて時間が感じられない。

これらは、1974年に井戸を掘っていた農夫が見つけたというからおかしい。こんなものがどんどん出てきたら、びっくりするだろう。ヨリス・イヴェンス監督の遺作『風の物語』(1988)という映画があったけれど、まだ整備中の兵馬俑がたくさん出てきたのを思い出した。

前半は秦王朝の青銅とか金の鐘や刀剣、飾りなどが並ぶ。こちらは小さいので退屈だけど、しかたがないか。そういえば、こういう場所には珍しく、中国人がかなりいた。やはり愛国心をそそられるのか。あるいは見る機会のない台湾や香港の人々か。日本人の観客が生真面目に見ていたのに比べると、中国人たちはおしゃべりばかりでちゃんと見ていない感じ。いずれにしても、閉幕まで1週間前の土曜夕方にしては混んでいない。

人間を大づかみに表現した兵馬俑の後に、急に日本の繊細な美術を見たくなって、本館を少しのぞいた。やはり雪舟や若冲や狩野派の屏風や襖絵や書画には息が止まる。こんなものがいつでも見られるとはすばらしい。

出がけに、黒田清輝展や安田靫彦展や若冲展のチラシを見た。日付を見るとすべて私がフランスに行ってから。何とも悔しい。急に愛国心が出てきたらしい。


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