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2016年2月24日 (水)

佐藤優の説く『資本主義の極意』:つづき

この本は重要なので、自分のためにも後半の核心をまとめておきたい。1917年のロシア革命はその後の資本主義を大きく変えた。なぜなら「資本主義に対抗するシステムが現れた」から。「資本主義体制にとっては、社会主義革命を阻止することが第一義的な課題となります」

そのために「資本家側は労働者階級に譲歩する。たとえば労働力商品の価格(賃金)を引き上げ、また社会的弱者を保護する社会福祉政策を行う」「個別の資本家は、賃上げや社会福祉政策による労働者階級への譲歩は、自らの剰余価値の減少をともないので抵抗します。/そこで暴力装置によって裏付けられた国家が乗り出してきて、資本に譲歩を迫るのです」

「このように、社会主義への対抗として、国家が資本に強く介入する資本主義のあり方を国家独占資本主義といいます。そして、この国家独占資本主義の特徴が強く現れるきっかけとなったのが、1929年の世界恐慌でした」。そうか、ロシア革命が第二次世界大戦の源であり、世界恐慌が直接の原因なのか。

「日本は世界恐慌を過小評価したために、壊滅的なダメージを負うことになります」「日本はこの未曽有の経済危機を帝国主義によって乗り越えようとしました。それが1931年の満州事変、翌32年の満州国建設です」

ここで「労農派」と「講座派」の解説があるが、これは省略。一言で言うと、「講座派」は日本特殊論で、まだ日本は近代化がされていないとみなす。「おそらく日本の知的な世界の95~98パーセントは講座派的な思考の鋳型で考えます」というのは興味深い。

「恐慌を避ける最大の政策とは何でしょうか。/それは戦争です。/宇野は、アメリカが世界恐慌から回復した真因は、第二次世界大戦だったと喝破しています」「恐慌か、さもなくば戦争か――。資本主義システムが続くためには、この二つのどちらかが起きることは必然なのです」

そして、この本は一挙に現代に迫る。ソ連が崩壊した1991年以降は、共産化に対抗する必要がなくなり、「新自由主義やグローバル資本主義が加速していくことになりました」「新・帝国主義はコストのかかる植民地を持たず、全面戦争を避けようとする点が、かつての帝国主義とは異なる点です」

これから議論はミクロになる。現在の日本では明治以来、初めて教育費が国も個人も右肩下がりになっているという。「女性の活用」についても、改正労働者派遣法を成立させて、不安定雇用を強化している。「すべての道は賃下げに通じて通じていることがわかります」

こうした状況に対して、佐藤はいくつかの生き方を提案する。「お金を無視した生き方をしてはならない」「高望みはせず、しかしあきらめないこと」「生活の隅々まで資本に支配されないためには、直接的な人間関係を確保すること」。

この後はいささかキリスト教的終末論になる。「私はこの終末を、資本主義からのラディカルなシステム転換だと捉ええています」「その時が来るまで、私たちは高望みせず、しかし決してあきらめない」

佐藤優氏が、何とか日本人に希望を与えようとしている姿勢が感じられて、そこが驚きだった。

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コメント

佐藤優さんの「資本主義の極意」読みました。ついでに、「世界史の極意」も。
何となく資本主義についてわかりました。ただ、わからないのは、なぜ資本家が金儲けしなければならないのかということです。
会社、金融機関などは何のために存在しているのでしょうか。僕は、基本的に、従業員も含め、世界の出来るだけ多くの人が幸せになれるようにするのが会社等の存在意義だと思っています。
資本家は、なにを思って金儲けしてるのでしょう。自分で使う金ならそんなに儲ける必要はないのに。
ロシアのアブラモビッチという人は、離婚の慰謝料として、奥さんに1兆円払ったらしい。奥さん、1兆円もらって、どうするのだろう?ってのと同じで資本家が金を持ってなんなんだろう?

投稿: jun | 2016年3月 2日 (水) 20時21分

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